京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝を紹介する会社「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM COCOLOで行っている映画短評について綴ります。

イタリア

映画『盗まれたカラヴァッジョ』レビュー

どうも、僕です。野村雅夫です。東京では1月に公開が始まり、シネ・リーブル梅田では3月20日、京都シネマでは3月21日、少し遅れてシネ・リーブル神戸では4月3日に上映の始まるイタリア映画『盗まれたカラヴァッジョ』。『ローマに消えた男』や『修道士は沈黙…

小説『靴ひも』レビュー

イタリアの小説で日本語訳が出たものは、その存在を知りうる限り、理解の及ぶ限り、漏らさず読みたい。ずっとそう思って本屋パトロールはしつつも、なかなか読書にあてる時間が確保しきれず、書斎デスク脇の積ん読タワーはうず高くなるばかり。ただ、僕の誕…

アイザックソンの『レオナルド・ダ・ヴィンチ』レビュー

どうも、僕です。野村雅夫です。 世界で最も名を知られたイタリアの人物(だろう)レオナルド・ダ・ヴィンチ。今年は没後500年にあたり、日本でもたくさんの関連本が刊行されましたが、その中でも最高峰との呼び声高いウォルター・アイザックソンのものが、…

『トスカーナの幸せレシピ』レビュー第2弾

どうも、僕です。野村雅夫です。現在全国順次上映中のイタリア映画『トスカーナの幸せレシピ』。先日公開したココナツくにこによるレビューに続き、今度は料理業界にいるセサミあゆみのペンによるものをご賞味あれ。 海外の超一流店で料理の腕を磨き、開業し…

小説『最後の手紙』レビュー 〈核〉に人生を翻弄された女性の物語

どうも、僕です。ポンデ雅夫こと、野村雅夫です。 先月手に取ったのが、イタリアの作家が日本を舞台に書いた小説『最後の手紙』。帯にも出てくる言葉「別れがつらいのは、それだけ多くのものを受け取ったから」は、丸10年僕が在籍したFM802での最後の生放送…

『トスカーナの幸せレシピ』レビュー

どうも、僕です。野村雅夫です。今月11日にYEBIS GARDEN CINEMAで封切られ、現在全国順次公開中のイタリア映画『トスカーナの幸せレシピ』。また1本、こうしてイタリアの作品が日本に紹介されたことを記念して、京都ドーナッツクラブでは2本のレビューを順…

『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』短評

FM COCOLO CIAO 765 朝8時台半ばのCIAO CINEMA 10月15日放送分 映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』短評のDJ'sカット版です。 49歳の作家、ヒキタクニオは、一回り以上年下の妻、サチと二人暮らし。夫婦円満、仲睦まじいふたりは、子どもは作らずにやっていこ…

『記憶にございません!』短評

FM802 Ciao Amici!109シネマズDolce Vita 2019年9月19日放送分 映画『記憶にございません!』短評のDJ's カット版です。 憲政史上最悪の総理大臣として、支持率2.5%という驚くべき低空飛行を続ける黒田啓介。尊大で傲慢。自己顕示欲が強く、金と権力を心底…

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』短評

FM802 Ciao Amici!109シネマズDolce Vita 2019年9月12日放送分 映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』短評のDJ's カット版です。 舞台は1969年のハリウッド。主要な登場人物は3人です。50年代からTV俳優として西部劇などで人気を博してい…

『ドッグマン』レビュー

どうも、僕です。野村雅夫です。現在公開中というイタリア映画をまた紹介できることがとても嬉しい。しかも、強烈なインパクトを残す作品。僕も公式サイトに以下のようなコメントを載せている『ドッグマン』です。今年4月、イタリア映画祭2019の告知を兼ね…

『ようこそ、大統領!』をNetflixで観てみよう

どうも、僕です。野村雅夫です。ここ20年ほど、日本で公開されているイタリア映画は、主にゴールデンウィークのイタリア映画祭でまずお披露目され、その中のいくつかが劇場公開、そしてソフト化という流れがありました。ただし、数年経って廃盤になったDVDは…

イタリア映画『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』レビュー

ガブリエーレ・ムッチーノ監督が12年ぶりに活動拠点をイタリアへ戻した。 僕が彼の名前を知ったのは、『最後のキス』(L’ultimo bacio、2001年)だった。30がらみの男性たちのピーターパン・シンドロームをえぐるように描いたこの作品は、その年のイタリアの…

イタリア映画『幸福なラザロ』レビュー

第71回カンヌ国際映画祭で脚本賞を獲得し、日本での公開が待たれていた、アリーチェ・ロルヴァケル監督の『幸福なラザロ』(原題『Lazzaro felice』)。イタリア映画の日本公開への道筋として定石となっているイタリア映画祭を経由せず、ダイレクトに4月19日…

映画『ザ・プレイス 運命の交差点』レビュー

花粉症がヤバい季節になってきたね。マスクは花粉症からの有効な防御アイテムだけど、昨今は、ファッションアイテムとしての位置を完全に確立させてもいる。マスクイケメン、マスク美女なんて言葉もあるくらいだからね。 マスクには小顔効果や肌年齢を隠すな…

内田洋子『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』レビュー

小学生のころ、年に何度か家族で曾祖母の家を訪ねていた。そのときの楽しみのひとつが、古本屋へ行くことだった(私のお目当ては漫画)。商店街に面した古くて暗いビルの1階に、こぢんまりとした店があった。壁も本でできているのかと思うくらいに書物がひ…

『グリーンブック』短評

FM802 Ciao Amici!109シネマズDolce Vita 2019年3月7日放送分 映画『グリーンブック』短評のDJ's カット版です。 1962年。ニューヨークの高級クラブ、コパカバーナで用心棒として働くイタリア系のトニー・リップ。教養も品もないものの、機転が利く言葉巧み…

イタリア映画『愛と銃弾』公開記念レビュー

どうも、僕です。ポンデ雅夫こと、野村雅夫です。僕たち京都ドーナッツクラブが字幕制作を担当したイタリア映画『愛と銃弾』が、現在、全国で順次公開されています。大阪は2月1日からシネ・リーブル梅田、そして京都は2月9日から京都シネマでの上映がスター…

映画「いつだってやめられる」三部作DVD-BOX発売記念レビュー

十数年前、私が大学院に進学した頃の大学には、改革の波が到達していた。イタリア関係の学術界はもともと大きくないこともあって、ある先輩は大学でイタリア語を教えたいと夢見ていたものの、諦めることにしたようだと聞いた。別のある先輩も、そこで生きて…

イタリアの移民児童文学『ぼくたちは幽霊じゃない』書評

アルバニアから対岸のイタリアへ命がけで海を渡ったヴィキは,どんな困難なときも希望を失わなかった…(岩波書店サイトより) 今年6月、イタリアは難民の人々を乗せたNGOの船『アクエリアス』の受け入れを拒否した。新聞等で目にされた方もいるだろう。ヨー…

山岳文学の新しい峰『帰れない山』

不定期に行っている習慣、本屋パトロール。より目を光らせる海外文学の棚で見つけたのが、新潮クレスト・ブックスから10月末に出た『帰れない山』。著者はパオロ・コニェッティ(Paolo Cognetti)。僕と同い年の1978年、ミラノ生まれ。はて、どこかで見た名…

『君の名前で僕を呼んで』短評

FM802 Ciao Amici!109シネマズDolce Vita 2018年5月3日放送分 『君の名前で僕を呼んで』短評のDJ's カット版です。 1983年夏。北イタリアの小さな町(メインのロケ地はクレーマというロンバルディア州の町で、人口は3万5千人ほど)を舞台に、家族で夏を過…

イタリア・マルケ州のおいしい料理と人

マルケ州と聞いてその街並みが頭に浮かぶ人ってどのくらいいるのでしょうか。 首都ローマのあるラツィオ州や花の都フィレンツェを擁するトスカーナ州に比べると、まだまだ日本での知名度の低いマルケ州。中部イタリアに位置し、アドリア海とアペニン山脈に囲…

欧米で社会現象化の小説『リラとわたし』クロスレビュー

翻訳家集団でもある京都ドーナッツクラブのメンバーは、定期的に開く会議の場で、イタリア文学の最新事情について情報交換をすることがある。そこで何度か話題にのぼっていた作家が、エレナ・フェッランテだ。 イタリアとアメリカでそれぞれ100万部以上を売…

「バルゼッレッテ」でイタリアを楽しもう!

「バルゼッレッテ」でイタリアを楽しもう! 3月19日開催、京都ドーナッツクラブ主催イベントのお知らせです。 バルゼッレッテ(バルゼッレッタ)とは、イタリアのジョーク、笑い話のこと。バルゼッレッテを通してイタリアを見れば、イタリアの流行、文化、ユ…

京都ドーナッツクラブメルマガ 第30号

こんにちは!めっきり涼しくなった京都の片隅で ドーナッツクラブは色々躍進していますよ。 ★アゴスティ監督作品、待望のDVD化! ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ドーナッツクラブが日本で紹介し続けている、 シルヴァーノ・アゴスティ監督作品がついに日本初DVD…

葡萄のSAKEBI #9 サルデーニャ編

イタリアの安くて美味しいワインを州や地域ごとに楽しむため目的で始めた「葡萄のSAKEI」。 9回目を迎えた今回は、サルデーニャ州のワイン6種類と郷土料理を楽しみつつ、サルデーニャ島に思いを馳せました。 毎回、ゲストを招いていますが、今回は、高校生の…

11月9日 西尾孔志監督トークショー@第七藝術劇場

レイトショーの後ということで、少し遅めに始まったトークショー。この日上映された2本の映画、『フィルムがない!』(Il caricatore, 1996)と『ただ彼女と眠りたかっただけなのに』(Volevo solo dormirle addosso, 2004)を鑑賞された西尾孔志監督が、ドーナ…

フェリーニの遺言

先日、映画を観て衝撃を受けた。その映画というのは『ファントッツィ、皆と対立』(Fantozzi contro tutti, 1980)だ。パオロ・ヴィラッジョ演じるファントッツィといえば、イタリアで知らない人はいないコミック映画の主人公。1968年にテレビドラマとして人気…

伊田広行さんを迎えてのトークショー『陽気なイタリア社会の困難な現状』

さる9月14日、元・立誠小学校特設シアターで、ドーナッツクラブ配給の映画を上映後、チルコロ京都でトークショーを実施しました。その日上映された『ただ彼女と眠りたかっただけなのに』は、主人公の青年が、人件費削減のため、同じ会社で働く社員の中から25…

マッシモ・ガウディオーゾの青春時代

『フィルムがない!』(Il caricatore, 1996)は、少ない資金でなんとか映画を撮影しようと奮闘する三人の若者を描いたコメディー映画である。若者たちのうちの一人が、現在テレビや映画で活躍する監督エウジェニオ・カプッチョなのだが、実は残りの二人も、イ…