京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝紹介グループ「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM802で行っている映画短評について綴ります。

二宮大輔(ハムエッグ大輔)

「バルゼッレッテ」でイタリアを楽しもう!

「バルゼッレッテ」でイタリアを楽しもう! 3月19日開催、京都ドーナッツクラブ主催イベントのお知らせです。 バルゼッレッテ(バルゼッレッタ)とは、イタリアのジョーク、笑い話のこと。バルゼッレッテを通してイタリアを見れば、イタリアの流行、文化、ユ…

11月9日 西尾孔志監督トークショー@第七藝術劇場

レイトショーの後ということで、少し遅めに始まったトークショー。この日上映された2本の映画、『フィルムがない!』(Il caricatore, 1996)と『ただ彼女と眠りたかっただけなのに』(Volevo solo dormirle addosso, 2004)を鑑賞された西尾孔志監督が、ドーナ…

フェリーニの遺言

先日、映画を観て衝撃を受けた。その映画というのは『ファントッツィ、皆と対立』(Fantozzi contro tutti, 1980)だ。パオロ・ヴィラッジョ演じるファントッツィといえば、イタリアで知らない人はいないコミック映画の主人公。1968年にテレビドラマとして人気…

伊田広行さんを迎えてのトークショー『陽気なイタリア社会の困難な現状』

さる9月14日、元・立誠小学校特設シアターで、ドーナッツクラブ配給の映画を上映後、チルコロ京都でトークショーを実施しました。その日上映された『ただ彼女と眠りたかっただけなのに』は、主人公の青年が、人件費削減のため、同じ会社で働く社員の中から25…

マッシモ・ガウディオーゾの青春時代

『フィルムがない!』(Il caricatore, 1996)は、少ない資金でなんとか映画を撮影しようと奮闘する三人の若者を描いたコメディー映画である。若者たちのうちの一人が、現在テレビや映画で活躍する監督エウジェニオ・カプッチョなのだが、実は残りの二人も、イ…

愛嬌でモテる色男ヴォーロ

ファビオ・ヴォーロことファビオ・ボネッティは、まだ小学生だった頃、ある映画が大好きだった。アルベルト・ソルディ監督作品の『私が知っていることを君が知っていると私は知っている』(Io so che tu sai che io so, 1982, 日本未公開)。自分と同姓同名の…

童話のクマのやさしさ

古今東西、童話に出てくるクマは、どれも共通の特徴を持っている。それというのは、ライオンやオオカミに引けを取らない猛獣のはずなのに、どこかかわいくて、やさしさまでも感じるというところ。例えばイギリスの童話『三びきのくま』。留守中のクマの家に…

Top Italian Wines Road Show

イタリア版のミシュランと称されるガンベロ・ロッソ。「赤いエビ」という意味で、由来は童話『ピノッキオの冒険』に出てきた酒場のこと。もともとはイタリア国内のレストランを格付けする雑誌だったのですが、現在は料理教室やテレビ番組の制作など、食に関…

私が愛したローマ

ピエル・パオロ・パゾリーニ(Pier Paolo Pasolini)が初めて監督を務めた映画『アッカットーネ』(Accattone, 1961)の中に、主人公のアッカットーネとその友人たちがたむろするバールが出てくる。それが現在改装され、バール・ネッチというレストランにな…

イタリア犯罪白書

ローマの和食店でアルバイトをしていたころ、犯罪事件に立ち会うことがあった。ある夜、売上金を入れたイタリア人オーナーの鞄が盗まれたのだ。 防犯カメラに映っていた犯人をにらむオーナー。反射的に警察に通報することを考えた私は、続くオーナーの言葉に…

図書館は町を知るチャンス

ローマを知りたいなら図書館に行くべし、という自説を私は唱えている。これは、資料を求めて足しげく図書館に通った実体験に基づくものだ。ローマ市内にはさまざまな図書館があるのだが、ここで言及したいのは市立図書館のこと。市内を分ける19の行政区ごと…

色に隠された物語

イタリア語で「一文無し」を意味する「緑になる」(essere al verde)という慣用句。これは17世紀、競売で用いられていたろうそくの根元が、緑色に塗られていたことに由来する。ろうそくが溶けて緑色の部分にまで達したら、競売は終了。合図の代わりにろうそく…

風刺漫画に見るベルルスコーニ時代の終わり

「これからはベルルスコーニが恋しくなるだろう」。昨年末、英国タイムズ(Times)紙で活躍する風刺漫画家ピーター・ブルックス(Peter Brooks)は、「2011年を振り返って」というテーマの記事でそう発言した。風刺漫画家は相手が憎ければ憎いほど腕が振るう。イ…

アントニオ・ペンナッキ『ムッソリーニ水路』

『ムッソリーニ水路』(Canale Mussolini、Mondadori、2010)という小説で、アントニオ・ペンナッキ(Antonio Pennacchi)が今年のストレーガ賞を獲得した。 ペンナッキ(画像下)は1950年、ローマ近郊のラティーノ(Latino)という町で生まれる。50歳まで工…

翻訳とは何か?

翻訳とは「同じことを他の言語で言うこと」だそうだ。そう言われてみると、翻訳という作業は言葉に特化したものに思えてくるが、例えば、前回扱った小説を映画化するというようなことだって、言ってみれば文字で書かれた内容を映像に翻訳しているわけである…

映画をつくる

映画と小説が強く結びつくようになったのはいつごろのことだろうか。小説を原作として映画がつくられるという関係だけにはとどまらず、脚本家が、小説を書いたり、小説家が脚本を書いたり、小説家が映画監督をしたり、映画監督が小説を書いたりしている。実…

iPadとさるぐつわの法律

iPadが世界9カ国で同時発売され、日本でも長蛇の列ができたそうですが、ここイタリアでもその人気はすごくて、すでに10万台の予約が入っているのだとか。大手新聞社、レプッブリカ紙(la Repubblica)、コッリエーレ・デッラ・セーラ紙(Corriere della Ser…

おとぎ話の王子さまはゲイ

知り合いのグラッツィエッラが監督、主演を務めるコメディー『おとぎ話の王子さまはゲイ(訳は筆者)』(Il principe azzurro è gay) を鑑賞しました。学生街サン・ロレンツォにあるアッロ・スカーロ劇場(Teatro allo scalo) は、路面電車の線路に隣接されて…

イタリアのバンド、ゼフィロ(Zephiro)日本上陸

イタリアのインディーズ・ロックバンドZephiroが4月初めから3ヶ月の間日本に滞在してライブ活動を行う。東京を中心に3日に1回はライブをする計算だから、かなりハードなものだ。Zephiroはイタリア語で「春風」とか「そよ風」という意味で、「ゼフィーロ…

ファブリツィオ・デ・アンドレ広場

住んでいるアパートから徒歩5分のところに、ファブリツィオ・デ・アンドレ広場という名前の場所がある。広場というよりは、団地にはさまれた簡素な公園という趣なのだが、その名前は同名の歌手に由来する。ファブリツィオ・デ・アンドレ(Fabrizio de Andrè)…

人種差別戦線イタリア

2010年、年明け早々、カラブリア州の小都市、ロサルノでアフリカ系黒人労働者たちが、不当な労働条件を訴えて暴動を起こした。暴動自体は2日間で収まったが、事件の波紋はそれ以降も収まる様子がない。すぐさま各メディアから激しい批判を喰らったロサルノ…

イタリア・ジャーナリズムの現在・過去・未来 その2

4月某日、今度はアウディトリウムで行われた“Le grandi lezioni di giornalismo(ジャーナリズムの大いなるレッスン)”に参加する。月に1回、著名なメディア関係者が壇上で講演をするというイベントで、最終回の今回は大手新聞社『テンポ』(il Tempo)編…

イタリア・ジャーナリズムの現在・過去・未来 その1

マルコ・リーズィ(Marco Risi)の映画『フォルタパスク』(Fortapa`sc、2009年)を鑑賞する。1985年ナポリの犯罪組織カモッラに暗殺された若きジャーナリストの話だ。主人公ジャンカルロ・シアーニ(Giancarlo Siani)が作中でメモ帳に走り書きをする。カシ…

あの高い場所へ行きたい  〜『グラムシの遺骸』を観て〜

他のヨーロッパの諸都市がスラリと立つ貴婦人なら、ローマという町はデンとふんぞりかえる太った中年売春婦である、などと言われたりもするらしい。ローマの地下鉄B線ピラミデ下車、徒歩10分の距離にあるガスタンクの鉄塔はそんな場末感漂うローマの象徴だろ…

コッリエーレ・デイ・ピッコリ展

現在ミラノでコッリエーレ・デイ・ピッコリ(Corriere dei piccoli)展が行われている。コッリエーレ・デイ・ピッコリとはイタリア最大の売り上げを誇るコッリエーレ・デッラ・セーラ(Corriere della sera)の増刊として週1回、1908年から1995年まで刊行さ…

手に届く距離にある映画 Roma Indipendent Film Festival

ピニェート通り(Via del Pigneto)のすぐ近く、新しく建て直された映画館、ヌオーヴァ・チネマ・アクイラ(Nuova Cinema Aquila)でやっているローマ・インディペンデント・フィルム・フェスティヴァルというイベントに行ってきた。ピニェートは映画関係者や芸…

中庭にある風景 〜エピローグ〜

このあいだパリに行ったとき、シャンゼリゼ通りにあるラデュレというお菓子屋さんに立ち寄りました。マカロンという名のお茶菓子が非常に名高いラデュレは、東京の銀座かどこかにも店舗があるらしいのですが、天下のシャンゼリゼ通りにある本店の門構えはや…

彼氏と彼女の文学史

男性作家にとって、女性関係はしばしば作品を書く原動力になるようです。ダンテ・アリギエーリ(Dante Aligheri)は、9歳のときにベアトリーチェに出会い、後に、彼女の絶対的な美とともに昇天する冒険譚をつくります。世界最初で最大のひきこもり、ジャコ…

空にうかんだ大きなクエスチョンマーク

Spinaceto pensavo peggio! Non e per niente male! スピナチェートはもっとひどい所かと思っていた! ぜんぜん悪くないじゃないか!(訳は筆者) これは映画『親愛なる日記』(Caro Diario、1993年)の中でナンニ・モレッティ(Nanni Moretti)が発した名言…

拝啓、ピエル・パオロ・パゾリーニ様

ピエル・パオロ・パゾリーニ(Pier Paolo Pasolini)が参加した映画『怒り』(La Rabbia)がこのほどリバイバルされて、ちょっとした問題が起こりました。ことの始まりはこうです。1963年、映画プロデューサーであるガストーネ・フェッランティ(Gastone Ferran…