京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝を紹介する会社「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM COCOLOで行っている映画短評について綴ります。

映画『帰れない山』短評

FM COCOLO CIAO 765 毎週火曜、朝8時台半ばのCIAO CINEMA 5月23日放送分 映画『帰れない山』短評のDJ'sカット版です。 1984年、イタリア北部の工業都市トリノで暮らす少年ピエトロの楽しみは、山を愛する両親とアルプス山麓の村にある別荘で休暇を過ごすこと…

映画『461個のおべんとう』短評

FM COCOLO CIAO 765 毎週火曜、朝8時台半ばのCIAO CINEMA 6月8日放送分 『461個のおべんとう』短評のDJ'sカット版です。 " data-en-clipboard="true">ミュージシャンの鈴本一樹は、妻とひとり息子の虹輝と、3人で海の見える小高い丘の住宅街に一軒家を買って…

『パブリック 図書館の奇跡』短評

FM COCOLO CIAO 765 毎週火曜、朝8時台半ばのCIAO CINEMA 7月28日放送分 映画『パブリック 図書館の奇跡』短評のDJ'sカット版です。 アメリカ、オハイオ州の街、シンシナティ。記録的な寒波に見舞われていた冬、中央図書館で司書として働くスチュワートは、…

『コロナの時代の僕ら』訳者インタビュー

どうも、僕です。野村雅夫です。新型コロナウイルスの感染があれよあれよと拡大した、僕の生まれた国イタリア。毎朝のFM COCOLO CIAO765で紹介できそうな記事を日本の各紙でチェックしつつ、イタリアのメディアの報道や、あちらの友人や親戚がSNSで発信する…

小説『靴ひも』レビュー

イタリアの小説で日本語訳が出たものは、その存在を知りうる限り、理解の及ぶ限り、漏らさず読みたい。ずっとそう思って本屋パトロールはしつつも、なかなか読書にあてる時間が確保しきれず、書斎デスク脇の積ん読タワーはうず高くなるばかり。ただ、僕の誕…

アイザックソンの『レオナルド・ダ・ヴィンチ』レビュー

どうも、僕です。野村雅夫です。 世界で最も名を知られたイタリアの人物(だろう)レオナルド・ダ・ヴィンチ。今年は没後500年にあたり、日本でもたくさんの関連本が刊行されましたが、その中でも最高峰との呼び声高いウォルター・アイザックソンのものが、…

小説『最後の手紙』レビュー 〈核〉に人生を翻弄された女性の物語

どうも、僕です。ポンデ雅夫こと、野村雅夫です。 先月手に取ったのが、イタリアの作家が日本を舞台に書いた小説『最後の手紙』。帯にも出てくる言葉「別れがつらいのは、それだけ多くのものを受け取ったから」は、丸10年僕が在籍したFM802での最後の生放送…

『葬式の名人』短評

FM COCOLO CIAO 765 朝8時台半ばのCIAO CINEMA 10月8日放送分 映画『葬式の名人』短評です。 28歳、シングルマザーの雪子は、安アパートで小学生の息子あきおとつましい二人暮らし。ある日、高校時代の同級生、吉田くんの訃報が彼女のもとに届きます。彼は、…

内田洋子『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』レビュー

小学生のころ、年に何度か家族で曾祖母の家を訪ねていた。そのときの楽しみのひとつが、古本屋へ行くことだった(私のお目当ては漫画)。商店街に面した古くて暗いビルの1階に、こぢんまりとした店があった。壁も本でできているのかと思うくらいに書物がひ…

イタリアの移民児童文学『ぼくたちは幽霊じゃない』書評

アルバニアから対岸のイタリアへ命がけで海を渡ったヴィキは,どんな困難なときも希望を失わなかった…(岩波書店サイトより) 今年6月、イタリアは難民の人々を乗せたNGOの船『アクエリアス』の受け入れを拒否した。新聞等で目にされた方もいるだろう。ヨー…

山岳文学の新しい峰『帰れない山』

不定期に行っている習慣、本屋パトロール。より目を光らせる海外文学の棚で見つけたのが、新潮クレスト・ブックスから10月末に出た『帰れない山』。著者はパオロ・コニェッティ(Paolo Cognetti)。僕と同い年の1978年、ミラノ生まれ。はて、どこかで見た名…

寿命が面白い!ーFM802やわか通信よりー

僕が毎週せっせと書いているFM802 Ciao! MUSICAの番組メールマガジン「やわか通信」で、先週(2017年11月3日)は『寿命図鑑』という書籍を紹介しました。生放送スタートと同時に登録者に無料配信している読み物ですが、この本を手に取ってもらう機会が増えま…

欧米で社会現象化の小説『リラとわたし』クロスレビュー

翻訳家集団でもある京都ドーナッツクラブのメンバーは、定期的に開く会議の場で、イタリア文学の最新事情について情報交換をすることがある。そこで何度か話題にのぼっていた作家が、エレナ・フェッランテだ。 イタリアとアメリカでそれぞれ100万部以上を売…

【読めるかな?】八〇二美武麗男罵倒瑠部第一回満員御礼!

大阪新町のラポーティアで開催された802ビブリオバトル部。記念すべき第1回は、満員御礼で幕を閉じました。ご来場いただいた皆さん、そして、お誘いいただいた先輩DJ浅井博章さん、どうもありがとうございました。 僕が紹介したのは都築響一夜露死苦現代詩 …

京都ドーナッツクラブメルマガ 第30号

こんにちは!めっきり涼しくなった京都の片隅で ドーナッツクラブは色々躍進していますよ。 ★アゴスティ監督作品、待望のDVD化! ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ドーナッツクラブが日本で紹介し続けている、 シルヴァーノ・アゴスティ監督作品がついに日本初DVD…

皆様、こんばんは。 日本各地で桜の満開情報が聞こえておりますが、いかがお過ごしでしょうか。 ドーナッツクラブからのイタリア関連のイベント・映画・書籍のご案内です。=直近のイベント= ■イタリアブックフェア 東京のイタリア文化会館で、今年も、イタ…

童話のクマのやさしさ

古今東西、童話に出てくるクマは、どれも共通の特徴を持っている。それというのは、ライオンやオオカミに引けを取らない猛獣のはずなのに、どこかかわいくて、やさしさまでも感じるというところ。例えばイギリスの童話『三びきのくま』。留守中のクマの家に…

KBS京都ラジオに野村雅夫出演!

昨日11/4(日)、KBSラジオ京都「伊舞なおみのみんながメダリスト」に、代表野村雅夫が、翻訳家として出演しました! 実は、野村が翻訳した絵本『剣を持ったクマ』を、電子絵本として出版することになった際、ラジオに関わっている人間なので、せっかくなら…

図書館は町を知るチャンス

ローマを知りたいなら図書館に行くべし、という自説を私は唱えている。これは、資料を求めて足しげく図書館に通った実体験に基づくものだ。ローマ市内にはさまざまな図書館があるのだが、ここで言及したいのは市立図書館のこと。市内を分ける19の行政区ごと…

『見えないものたちの踊り』発売!

本日、11/25 シルヴァーノ・アゴスティ著の『見えないものたちの踊り』が電子書籍とオンデマンド書籍で発売されました。 今回は大阪ドーナッツクラブのメンバーで共訳し、これまでのアゴスティ著の翻訳者であり、弊グループの代表 野村雅夫が監修を行いまし…

TBSラジオ「キラ☆キラ」で紹介されました!

9/28(水)、TBSラジオの人気番組「キラ☆キラ」(パーソナリティは小島慶子さん)でドーナッツクラブのことをご紹介いただきました。 水曜日のパートナー、ライムスター宇多丸さんが最近気になることを話されている「ペラ☆ペラ」で、代表の野村雅夫(ポンデ雅…

イタリアからの手紙6:「ヴァチカン図書館の内側」 ロベルタ・コスタ

今年の3月17日は、イタリア統一150周年の記念日で、ローマでも大々的に祝典が行われました。今回はイタリアの歴史を振り返り、過去の功績や遺産を見直してみようと思い、ヴァチカン図書館の研究生ロベルタ・コスタさんに記事を書いてもらいました。(ハムエ…

新しい翻訳プロジェクト、今日から始動!:92の短い長編小説

どうも、僕です。バレンタインデーを「ばれたらいかんデー」と自分に言い聞かている大人もいるようですが、大阪ドーナッツクラブ的には、今日は「ばれてもええデー」なんです。これまでひた隠しにしてきた翻訳プロジェクト(そこまででもないか…)が、いよい…

雲の上の本たち

どうも、僕です。イタリアの本文化ってすごいものがあるんですよね。たとえば、本を作る学校なんてものが国立であったりする。物質としての本の魅力。手触りに匂いに書棚での存在感。中には世界に一冊しかない手作りの本なんてものもあったりするわけです。…

イタリアからの手紙3:「新しい文学の潮流」 カロリーナ・クートロ

こんにちは。ハムエッグ大輔です。 電子ブック元年といわれかけた2010年ですが、実際は元年というよりは零年だったのではないか、と思います。ここイタリアにおいても、結局、まだまだ iPadの普及率は低く、日常生活で出会うことはないです。とはいいつつも…

芸術は爆発だ! 本職は人間だ!

どうも、僕です。この前、京都のビブリオテーク・カフェの2階で珈琲を飲んでくつろぎながら、うららかな午後を過ごしていた時のこと。2Fの開架は雑誌が充実しているので、世界のエアライン・ステッカーについて特集したものとか、各国のコアな情報誌をぱ…

おススメの本 『遠い水平線』 アントニオ・タブッキ著

「何故あの人が死に、私は生きているのか」 数年前、幼い日を共に過ごした友人が亡くなったと聞いて、すぐさま実感など湧かず、しかし、遺影とお骨になった姿を見てはじめて、言いようのない動揺が襲ってきました。死という現前とした事実を前にしてそんな想…

『アンドレアとマルタの冒険』(IL VIAGGIO DI ANDREA PORCELLO E CAPRA MARTA ):ロベルタ・ゴルニ

長い旅から帰ってきたコウノトリの土産話を聞いた、 こぶたのアンドレア君とこやぎのマルタちゃん。 二匹はいてもたってもいられなくなって、旅に出ることにします。 しっかり長旅の準備をしたにもかかわらず おいしいお菓子のにおいに誘われてさっそくの寄…

『ペルシャ猫を誰も知らない』&『おっぱいとトラクター』

どうも、僕です。土日はワンデイ登山にサイクリングと、アウトドアで英気を養いました。 やっぱり秋は気持ちいいね。どこへ行って何をしても、そこが晴れてさえいれば、即○○日和になる、そんな雰囲気の週末でしたね。でも、油断は禁物で、さすがに夜は冷えて…

ツィスティー、母子共に雑誌掲載!

どうも、僕です。ちょうど今日、僕のやってる大阪ドーナッツクラブでは、久しぶりにメルマガを発行した。イカしたイタリア文化を紹介することを中心とした僕らドーナッツの活動だが、それぞれがあちこちで独自に動いていて、そういう報告を受けるのがとても…