京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝紹介グループ「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM802で行っている映画短評について綴ります。

おススメの本 『思いではそれだけで愛おしい』 ダーチャ・マライーニ著

この作品は、劇作家である五十代の女性ヴェーラが、歳の離れた若い恋人の六歳の姪である少女フラヴィアに書き続けた十六通の手紙からなっています。読み始め、まるで他人の恋文か秘密の交換日記を読んでいるような気恥ずかしい気持ちが溢れてきます。それほ…

イタリアブックフェアでのトークショー@イタリア文化会館 東京

どうも、僕です。明日は東京へ行ってきます。久しぶりのおのぼりさん。僕は関西人らしく何かにつけて東京を好ましく思っていないので(特に理由はありません)、あの魔都に遊びに行くなんてことはまずないのだけれど、いくら仕事とはいえ、新幹線に乗って移…

おススメの本 『なぜ古典を読むのか』 イタロ・カルヴィーノ著 

――― 今日比較研究をやっていく場合に一番重要な課題は何かというと、文化は普通そうは考えられていないけれども、危機、クライシスに直面する技術であるということね。――― 文化人類学者の山口昌男氏のこの言葉は、作家の大江健三郎さんが、定期的に朝日新聞…

第15回日本絵本賞 読者賞を受賞して

“水おとこ”との出会いは、私にとって偶然、運命的としかいいようのないものでした。 翻訳コンクールの課題図書として私の手元にやってきた“水おとこ”は静かに私を潤 し、幸運の泉をもたらしてくれたのかもしれません。 コンクールで賞をいただいたうえに出版…

おススメの本 『木のぼり男爵』 イタロ・カルヴィーノ著

多彩な作風で知られるイタリアの国民的作家であるイタロ・カルヴィーノの作品は日本でも多数翻訳されているが、今回紹介するのはこれ。 「われわれの祖先」と題された三部作のうちの一つである。 1767年、12歳のある日、家族に反逆して樹上生活を始める男爵…

物差しでは測れない心と心の距離 〜素数たちの孤独〜      (旧ウェブサイトコラム『ローマから遠く離れて』)

2008年のイタリア文学界は、ストレーガ賞を受賞した『素数たちの孤独』(La solitudine dei numeri primi、パオロ・ジョルダーノ<Paolo Giordano>、飯田亮介訳、早川書房、2009年)の話題でもちきりだった。ひとつの現象と言ってもいいくらい。2年たった…

人種差別戦線イタリア

2010年、年明け早々、カラブリア州の小都市、ロサルノでアフリカ系黒人労働者たちが、不当な労働条件を訴えて暴動を起こした。暴動自体は2日間で収まったが、事件の波紋はそれ以降も収まる様子がない。すぐさま各メディアから激しい批判を喰らったロサルノ…

おススメの本『タタール人の砂漠』 ティーノ・ブッツァーティ著

北の砂漠からいつ来るとも知れぬタタール人の襲来に備えて存在し続ける辺境の砦。 すべての色彩を失ってしまったかのようなその要塞で、三十余年を過ごし、やがて死を迎える男の物語。 軍人として栄光を望むこころと、何も起こらないまま一生が終るのではな…

学芸カフェ、スタート!

どうも、僕です。もう長年(といってもいいでしょうね)担当させていただいている学芸出版社のウェブサイト上コラム連載。2010年もお話をいただきまして、先日、初回が無事にアップされました。企画は今年もスタジオOJMM(設計・研究・翻訳)さんです。…

悪人とガツン!

どうも、僕です。先日誕生日を迎えて31歳になり、いよいよ20代と完全に切り離されたような気がして、風貌と内面のみならず、これからは年齢と内面のギャップにも苦しんでいかざるを得ないのではなかろうかと難しい顔をして友人に語ってみたところ、「そうか…

モスキート・メトロ

どうも、僕です。かなりご無沙汰してしまいました。京都姉妹都市映画祭で上映したイタリア人映画監督シルヴァーノ・アゴスティの紹介やら字幕やら準備やらに大わらわ、さらには今月末に発売する同じくアゴスティ小説第二弾の訳校正に追われ(また改めて告知…

自分の居場所 『水おとこのいるところ』

『水おとこのいるところ』 (L'uomo d'acqua e la sua fontana、2008) イーヴォ・ロザーティ著 ガブリエル・パチェコ絵 ひらいたままの蛇口から生まれた、水おとこ。 そんな水おとこに対して人々は、騒ぎ立て、捕らえようと追い回し・・・。 異世界に生れ落ち…

イタリアの絵本『水おとこのいるところ』オンセール!!

どうも、僕です。今月半ばくらいでしたかね、ブログの翻訳紹介コーナーに新しい仲間が加わるようになったんですけど、皆さん気づいてました?よく見ると、「MASAOの翻訳」だったものが、「MASAOと大阪ドーナッツクラブの翻訳」ってなってますよね。このたび…

シンクロニシティー

どうも、僕です。前にも書いたように、今月から専門学校での授業を担当している。もう結構長い間やっている講座なので、自然と足が学校へ向く。水曜日、授業を終えてから、僕はもうひとつの専門学校へ足を運んだ。専門学校のはしごなんて、なかなかしない。…

「豆腐でカプレーゼ」と「さわらのサワークリーム」

どうも、僕です。先週末は久しぶりに夜のクラブ活動ということで、木屋町のコラージュで、α-STATIONの関係者でごった返す“buggin' out”に行ってきました。プロデューサーのFさんやスタッフの皆さんには、いろいろとごちそうになり、DJのポールさんやリス…

イタリア・ジャーナリズムの現在・過去・未来 その2

4月某日、今度はアウディトリウムで行われた“Le grandi lezioni di giornalismo(ジャーナリズムの大いなるレッスン)”に参加する。月に1回、著名なメディア関係者が壇上で講演をするというイベントで、最終回の今回は大手新聞社『テンポ』(il Tempo)編…

イタリア・ジャーナリズムの現在・過去・未来 その1

マルコ・リーズィ(Marco Risi)の映画『フォルタパスク』(Fortapa`sc、2009年)を鑑賞する。1985年ナポリの犯罪組織カモッラに暗殺された若きジャーナリストの話だ。主人公ジャンカルロ・シアーニ(Giancarlo Siani)が作中でメモ帳に走り書きをする。カシ…

KAO展、見参!

どうも、僕です。先日、仕事の息抜きにと、お昼に出町デルタでコロッケをパクつきながら、うららかな春爛漫の陽気の下で花見と洒落こんでいたところ、しめの一口を鷲だか鷹だか鳶(とんび)だかに持っていかれました。泣くに泣けませんでした。背後から突然…

コッリエーレ・デイ・ピッコリ展

現在ミラノでコッリエーレ・デイ・ピッコリ(Corriere dei piccoli)展が行われている。コッリエーレ・デイ・ピッコリとはイタリア最大の売り上げを誇るコッリエーレ・デッラ・セーラ(Corriere della sera)の増刊として週1回、1908年から1995年まで刊行さ…

フロストにぞっこんラブ

どうも、僕です。昨日の夜、ベッドで悲しい出来事がありました。といっても、別に女性に絡んだ話ではありません。ここしばらく読みふけっていたフロストシリーズの最新訳を読了してしまったのです。その何が悲しいんだとおっしゃる向きもあるかもしれません…

With A Little Help From My Favorite Musicians

どうも、僕です。18日の SWINGIN’ SUNDAY を引きずって、もう少し受験のトピックでお付き合いください。今日は英語のお話。ボキャブラリーやイディオムを増やすときに、僕はよく音楽の歌詞を使っていました。洋楽を楽しみながらも、ジャケットを精読するわけ…

中庭にある風景 〜エピローグ〜

このあいだパリに行ったとき、シャンゼリゼ通りにあるラデュレというお菓子屋さんに立ち寄りました。マカロンという名のお茶菓子が非常に名高いラデュレは、東京の銀座かどこかにも店舗があるらしいのですが、天下のシャンゼリゼ通りにある本店の門構えはや…

彼氏と彼女の文学史

男性作家にとって、女性関係はしばしば作品を書く原動力になるようです。ダンテ・アリギエーリ(Dante Aligheri)は、9歳のときにベアトリーチェに出会い、後に、彼女の絶対的な美とともに昇天する冒険譚をつくります。世界最初で最大のひきこもり、ジャコ…

ジェーン・グドール博士、来洛!

どうも、僕です。僕の古くからのイタリアの友人に、アレッサンドロ・ベーという男がいます。ローマへ留学していた際に久しぶりに会ってみたら、彼はいっぱしの写真家になっていたんです。個展を開催するというので駆けつけてみると、国連平和大使であり、霊…

空にうかんだ大きなクエスチョンマーク

Spinaceto pensavo peggio! Non e per niente male! スピナチェートはもっとひどい所かと思っていた! ぜんぜん悪くないじゃないか!(訳は筆者) これは映画『親愛なる日記』(Caro Diario、1993年)の中でナンニ・モレッティ(Nanni Moretti)が発した名言…

この秋、トレヴィが黒く染まる〜     (旧ウェブサイトコラム『ローマから遠く離れて』)

「2008年11月1日と2日、トレヴィが黒に染まる」。アドリア海での電脳波乗り(あ、イタリア語のサイトでネットサーフィンしていたってことです)していると、こんな見出しに遭遇した。なんだかテロの予告みたいでおどろおどろしい。でもよく読んでみると、…

YAが気になる 2008/10/02

まず、はじめに。 いらっしゃるはずはないと思いながらも、もしも私のコラムを楽しみにしてくださっていた方がいらっしゃるなら、再開にあたり、須賀敦子について書くことは一旦お休みし、コラムのタイトルどおり興味のおもむくままに飛びまわることをどうか…

平成のチェッカーズ

どうも、僕です。今日のSwingin' Sundayでは、僕の着ていたシャツが猟師さんみたいだと直子先輩に言われました。確かに。京大卒で現役の猟師さん、千松信也さんの『ぼくは猟師になった』について番組内で話しただけに、けっこうタイムリーな服装だったなと嬉…

コロッセオの近くに

初めてできたぼくのイタリア人の友達は、ダニエーラという名前の女の子でした。地方から出てき学生で、ローマのモンティ地区に下宿し、大学では日本語、日本文化を勉強していました。そんな彼女の家に遊びに行ったときのことでした。コーヒーでも飲みに行こ…

マイ・ライフ・アズ・ア・ズィンガリ〜

風の民ジプシー。陽気に歌い踊り幌馬車で旅をする。そんな彼らのプラス・イメージをぼくが初めて知覚したのは、手塚治虫の『リボンの騎士』だったでしょうか。いっぽう、他国に逃げ出し寄生するように街を徘徊するジプシー。そんなマイナス・イメージを知覚…