京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝紹介グループ「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM802で行っている映画短評について綴ります。

焼酎バーにて 2 〜それがテクニシャン〜 (旧ウェブサイトコラム『小噺パラダイス』)

どうも、有北です。
そういうわけで、何の気なしに入った焼酎バーで、謎のおばちゃんと遭遇してしまった僕です。
おそらくは、彼女が店主なのだろうが・・。リーゼントっぽい髪型で、部分によっては金のメッシュが入っている。さらには、その髪型にマッチした、気合の入った眼鏡が瞳を覆う。この卓越したファッションセンス。アバンギャルド・・アバンギャルドだ。彼女の圧倒的な存在感に僕はしばし立ちつくしていた。おそらく時間にしてみれば10秒前後だったろうと思うが、薄暗いあの店内であの彼女とふたりきりで対面した、あの状況下での10秒は、そしてその10秒間に僕の精神がこうむったあれこれは、筆舌に尽し難い。おもむろに彼女が口を開く。反射的に身構える僕。
「いらっしゃい。」
よかった。やっぱりこのおばちゃんが店主なのに違いない。しかしよく考えてみれば、当たり前のことを言われただけなのに、なんだろうこの感動は。
「あいてる席にかけてや。」
ありがとう。・・優しい言葉。なんか、もう、満足してる自分がいる。なんならこのまま帰ってもいいくらいだ。食べてもないのに、ある意味おなかいっぱいだ。すごいテクニックだ。これは、あれか。一見悪そうな奴が少しでもいいことをすれば実際以上にいい奴に見えるという、例の心理か。その心理を巧みに用いたテクニックか。
くそう、テクニシャンめ!
だって、店に入って「いらっしゃい」って言われただけだもんね。それって当たり前だよ。必然だよ。しかし、この必然に感動。このテクニシャンめ!