京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝紹介グループ「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM802で行っている映画短評について綴ります。

同じ月を見ている 4 〜Bad Bread〜 (旧ウェブサイトコラム『小噺パラダイス』)

どうも、有北です。
京美人は再びウーロン茶を一口飲んでから、話を続けました。
「ところが、まさにご主人がプラスドライバーを握りしめた瞬間、ビデオテープの挿入口を覗き込んでいた私の友だちが気づいたのよ。『なにか、詰まってる』。あなた、いったい、ビデオデッキの挿入口になにが詰まっていたと思う? 答えは、食パンよ…」
「いったい、なぜ、そんなものが?」と、動揺を隠しきれない僕。
「彼らには、4歳になる息子がいてね…」
「まさか」
「そのまさかよ。息子が、やったの…。はじめはしらばっくれてた息子も、大人ふたりに尋問を受けて、時を待たず自白したわ。もちろん、その日のおやつは抜き」
「ひどい」
「わかった? 後先考えずにものを詰め込んだりすると、このような悲劇を生むのよ…」
「いやしかし、僕は食パンを詰め込んだわけじゃないですから…。部屋の片づけをしてただけで…」

僕はもっと反論したかったが、おもむろに彼女がリリー・フランキーの文庫を読み始めたことでこの話題はおしまいになった。「まったく、子どもね…」。彼女が最後につぶやくように言った。彼女のオリジナリティあふれるロジックに僕がたちうちできたためしはない。僕は諦めてその場を後にした。
さて、その夜新聞を読むと、興味深い記事が載っていた…。  (つづく)