京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝紹介グループ「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM802で行っている映画短評について綴ります。

暴走機関車 2 〜OPEN〜 (旧ウェブサイトコラム『小噺パラダイス』)

どうも、有北です。
くだらないことを言ってる場合じゃない。
鞄を救出することが何よりも急務です。僕はさらに力を加える。しかし今さっき証明されたように、僕の力では鞄の窮状はいかんともしがたい。息が切れてきた。くそ、この鞄め。毒づき、まさぐる。引っこ抜けない、まさぐるのが精一杯。憤りとやるせなさから、いきおい頬も紅潮する。
いかん。たいへんなことに気づいた。
鞄はちょうど大人の身長で言うと股間の高さにはさまっている。この混み合った車内で、頬を赤らめて股間のあたりをまさぐっている男は、遠くから見たら完全に痴漢だ。はやとちりした熱血漢が正義感と鉄拳をふりかざしてこないとも限らない。くそ、電車男のブームもとっくに過ぎ去ったというのに。伊藤淳史も、今やただのブタだというのに。天竺なりどこへなり行ってしまえ。
そんなことはいい。
ブタのことを考えているうちに、電車は目的地である新大阪駅に到着しようとしていました。くそ、結局自分の力ではどうしようもできなかった。自らの非力さを呪いつつも、同時に安堵する僕。駅に着けば、ドアが開く。やっと、この責め苦から解放される…。
そして電車がホームに到着し…。
反対側のドアが開きました。
そんなばかな。
戸惑う僕を乗せたまま、再びゆっくりと閉じる反対側のドア。まさか、このまま発車か。発車するのか。おい。
電車はゆっくりとホームを離れていきました。