京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝紹介グループ「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM802で行っている映画短評について綴ります。

最後の挨拶 (旧ウェブサイト『小噺パラダイス』)

 どうも、有北です。
 大正製薬から発売されている誰もが知っている栄養ドリンク、リポビタンD。意外と知られていないですが、裏を見るとこんなふうな記述があります。
 「次の症状があらわれることがあるので、このような症状の継続又は増強が見られた場合には、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談してください 下痢」
 「次の症状」=「下痢」という、文章の意味するところはわかるんですが、なにか書き方に「もうひと工夫必要だったんじゃないの?」と思わせます。だって、次の症状が…とかもったいぶっといて、「下痢」だけってことはないでしょう。「下痢・腹痛・胸焼け…」と、いくつかあるならまだ納得いくんですが。

 そして、この文章のもっともいけないところは、読んでいて、「下痢」がなんだか文章の最後の挨拶のように受け取れてしまう点にあります。
 例えば、こういう手紙がありますよね。
 「毎日寒いですが、お体にお気をつけください 敬具」
 本文があって、最後に一言。構造的には全く同じスタイルです。これに「下痢」を適用してみましょう。
 「毎日寒いですが、お体にお気をつけください 下痢」
 そんなことを言い出すやつに体の心配なんかされたくはありません。
 或いは、旅先からの手紙はどうでしょう。美しい風景の絵はがきの裏に、一言メッセージが添えてあります。
 「久しぶり! 今スイスにいます。湖がとってもきれいなんだ。 下痢」
 はやく帰ってこいと言いたくなります。


 このように、文章の最後に置かれた「下痢」は、さまざまな悪影響をもたらし、時には良好な人間関係すら破壊します。
 素直にこう書きたまえ。
 「下痢の症状があらわれることがあるので、下痢の継続又は増強が見られた場合には、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談してください」
 ぐっと、わかりやすくなりました。

 唯一問題があるとすれば、「下痢の継続又は増強が見られた場合には」というくだりでしょうか。医師に相談しろとありますが、シミュレーションしてみるとこれはこれで厄介です。
 医師「今日はどうされました?」
 患者「リポビタンDを飲んだら、下痢が増強しまして…」
 医師「は?」
 患者「ですから、下痢が増強しまして・・」
 医師「下痢が?」
 患者「…増強したんです。」
 こりゃ、だめだ。
 やはりはじめの文章がベストなのか?
 どうやら、大正製薬がこの文章をつくるまでに重ねた苦労が、わかるような気がしてきました。