どうも、僕です。
放送でも言っていましたが、先月末に引っ越しをしました。
生涯で7度目の引っ越しです。
しかも、そのうち、ハタチを過ぎてからが5回。
引越貧乏という言葉が、実にしっくり馴染みます。
先日、買い増しした家具が段ボールにくるまれて我が家にやってきました。
「ようし、いっちょ組み立てるか!」
麦酒という名の気合いを注入し、僕は段ボールの前に仁王立ち。
っと、そこで、大事な手続きを思い出しました。
爪を切り揃えなきゃ。
ぱち、ぱち、ぱち。
10枚の爪は野放図に伸びきっていたので、これはいけないと僕は爪切りをあてがったわけです。
これは組み立ての際に剥がれる危険を見越しての、的確かつ適切な対処ですね。
「よしよし、これで大丈夫」
爪に入念に鑢(やすり)をかけながら、僕は呟きます。
従来のツメの甘さなぞどこへやら、僕は成長した自身の姿を洗面所の鏡に映してほれぼれしました。
ついでに、非の打ちどころのない爪の仕上がりにも、ほれぼれとしました。
さぁ、いよいよ、作業開始です。
まずは開梱から。
僕はペン立てから使い込んだカッターをむんずとつかみ、
段ボールのガムテープ部分に鋭利な切り込みを入れんとしました。
と、僕はそこに書かれた文言に目を留めました。
「開梱の際は窓を開けてお部屋の通気を良くしてからお願いします」
OK、お安い御用さ。
換気体制を盤石にしつつ、
気を取り直すために新たな麦酒を胃袋に投入しつつ、
改めて作業開始です。
と、僕はそこに書かれた別の文言に目を留めました。
「カツターでの開梱厳禁」
え?
これはなんだ。
カツター。
「ツ」が大きいところに並々ならぬ強い意向を感じます。
僕は忠告に従うことにしました。
OK、お安い御用さ。
そこまで言うなら、カッターは封印しよう。
改めて段ボールと向かい合った僕の脳裏に重大な疑念が浮かび上がりました。
「僕はこのピッシリ貼り付けられたガムテープを、いったい何で開ければいいんだろう? 刃物が駄目となると、素手か? できるかな…」
僕はおそるおそるガムテープに指を立ててみました。
と、そこで重大な事実に行き当たりました。
爪がない。
やれやれ、僕はなんてツメが甘いんだ…。
結局その夜は麦酒がさらに進んだだけで、開梱作業がそれ以上進むことはありませんでした。
それからもしばらくは難攻不落の城のようだったその大きな段ボールを僕が見事に開け放ったのは、その夜から1週間後、すなわち爪がまた「再生」してからの話です。
それではみなさん、また非常に近い将来に。