どうも、僕です。
オフの日に実家に帰ってお昼を食べようと思ったら、母親が僕のふるさとの味で出迎えてくれました。
盛り付けがなかなかイカしてますね。これは、Vitello tonnato (ヴィテッロ・トンナート)という料理で、僕の生まれたトリノを州都とする、ピエモンテ州の名物なんです。
ひと手間もふた手間もかけて野菜やハーブと一緒に煮込んだ牛肉ブロックを薄めにスライス。
そこに「秘伝のタレ」というほどでもないか、ツナとマヨネーズとアンチョビと白ワインとケッパーと、あと、僕も知らない何か隠し味を恐らく放り込んで攪拌したものを薄くかけてできあがり。
実は、僕も初めて食べたんで、作り方もアバウトです。こんな感じかな、というくらい。ごめんなさい。また詳細がわかれば、アップしますね。
久方ぶりの再会を祝おうとこんな素敵な前菜をこしらえてくれた母親の愛情に感謝しながら、一口、そして二口。
なんせ僕に作ったことがないというくらいですから、母親にとってもこの料理はずいぶんとご無沙汰だったようです。
「少し味がきつくなっちゃったわね」
「そうだね、少し。でも、おいしいよ。次は塩を控えめにすればいいだけだよ。味はいいもの」
「でも、やっぱり牛肉のほうが良かったわね、きっと」
「え? これ、なんなの?」
「豚よ」
どうもおかしいなとは思っていたんです。おいしいんだけれど、口中に広がるこの違和感。
「どうして、豚を使ったのかな、母さん」
「冷蔵庫にあったからに決まってるじゃない」
さすがは母です。
冷蔵庫内にあるものを決して無駄にはしないぞという決意とそれに基づく知恵に感服しました。
ただ、そこは牛でいってほしかった。
ツナマヨ豚(とん)。
いや、豚もおいしかったんですけどね、今度は冷蔵庫内の諸事情にとらわれず、正真正銘のふるさとの味を食べたいものです。
それでは皆さん、また非常に近い将来に。