京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝を紹介する会社「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM COCOLOで行っている映画短評について綴ります。

みなみ会館と滋賀会館:シェルブールの雨傘

どうも、僕です。

学芸出版社のウェブサイトで今年も担当させていただいているコラム連載「建築ノオト2009」の6月号が公開されています。

学芸出版社のウェブサイト(Click!)、What's New、あるいは連載・記録のところにある建築ノオトをクリックして閲覧ください。

コラムを企画しているスタジオOJMM(設計・研究・翻訳)のウェブサイト(Click!)からもご覧いただけます。

今月ご紹介するのは、ただ単に全国を巡回している作品を観客に見せるだけではなく、慧眼の士である佐藤支配人が秀でた上映プログラムで魅せてくれる、異色かつ孤高の名画座、京都みなみ会館です。こういう映画館を擁する街に住むことは、実に誉れ高きことだと思っています。ぜひお読みください。
シェルブールの雨傘 デジタルリマスター版(2枚組) [DVD] ロシュフォールの恋人たち デジタルリマスター版(2枚組) [DVD]
さて、そのみなみ会館で3月くらいにかかっていたジャック・ドゥミ監督の仏製ミュージカル映画、『シェルブールの雨傘』(1963年)と『ロシュフォールの恋人たち』(1966年)。どちらもデジタル・リマスターされたということで、リバイバル上映でした。ロシュフォールはDVDもサントラのCDも持っているけれど、シェルブールはろくに観たこともないなと思いながら、見逃していたんです。

ところが、みなみ会館と同じRCSが上映プログラムを組んでいる系列館、滋賀会館シネマホールでかかっていることを知って、今月のはじめ、大津へ帰省しながら寄って鑑賞してきました。

もちろん好みの問題があるので、あくまで個人的な想いではありますが、あの原色丸出しのバロック的な色彩構成は、あまり眼によくありませんね。眼がしびれます。レトリックではなくて、物理的に。ポストカードみたいな静止画で見る分にはなんともなかったものも、動画で見るときつかったです。

ドヌーヴはやっぱり最高です。衣装もころころ変化して、当時のファッションショーを目の当たりにするような感覚も味わえて楽しめました。

が、シェルブールロシュフォールと違って、とにかくあらゆるセリフを歌で発するんですよね。しかも踊りがない。これが正直しんどい。いくらミシェル・ルグランが凄腕でも、途中で何度かだれてくるなという印象でした。ロシュフォールはその点、自然な会話があって、いつの間にかみんな踊って歌いだすという構成ですよね。しかも、コメディー。こういう書き方をしてるとすぐにバレるとは思うんですが、はい、僕、ミュージカルが苦手なんです。そんな僕には、あくまで笑いにこだわりながら、サラリと軽妙洒脱な演出のロシュフォールのほうがとっつきやすかったようです。メリハリがあるぶん、ルグランの曲もどれも名作でした。がちがちのメロドラマをどぎつい色使いと歌いっぱなしの構成で進行するシェルブールは、ついていけなかったわけです。そのせいか、ストーリーもありきたりに思えてくるのです。なんなら、最終的にはドヌーヴよりもマドレーヌを演じたマイナーな女優さんのエレン・ファルナー(画像下)のほうがよっぽど美しく見えてきたりして…

嗚呼、いつになれば僕はミュージカル嫌いを克服するのでしょうか。「いきなり歌ったり踊ったり、あんなのどう考えたって変だよ」なんてタモリみたいなセリフを、僕はいつまで吐き続けるのでしょうか。いつになったら劇団四季を観にいくのでしょうか。いつになったら一番好きなミュージカルは三谷幸喜の『オケピ!』だなんてことを言わなくなるのでしょうか。

僕のミュージカル克服の道はまだまだ長く険しいことを確認する羽目にはなりましたが、とにもかくにも、シェルブールをスクリーンで鑑賞できたことはとっても収穫でした。これからも、RCSのプログラムは要チェックです。

それでは皆さん、また非常に近い将来に。