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京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝紹介グループ「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM802で行っている映画短評について綴ります。

人種差別戦線イタリア

 2010年、年明け早々、カラブリア州の小都市、ロサルノでアフリカ系黒人労働者たちが、不当な労働条件を訴えて暴動を起こした。暴動自体は2日間で収まったが、事件の波紋はそれ以降も収まる様子がない。すぐさま各メディアから激しい批判を喰らったロサルノ市は、自分たちの潔白を晴らすべくデモを行う。劣悪な労働条件は、貧しい南の小都市ではイタリア人にとっても同じことだ。暴動が起きたからといって、人種差別や、裏で手を回しているマフィアを安直に想像して、イタリア人側に非があるとするのはおかしいというのがロサルノ市の言い分だ。この事件が引き金となって、前々から論じられてきた「私たちイタリア人は人種差別者かどうか?」というテーマがより際立つようになった 

 時は前後するが、昨年の11月末に『黒んぼ、ホモ野郎、ユダ公&CO(訳は筆者)』(Negri, froci, giudei&CO.)なる本がリッツォーリ社から刊行された。差別問題は、ロサルノの事件に限ったことではない。ミラノのサッカー・チーム、インテルの黒人選手マリオ・バロテッリに試合中、差別的なヤジが浴びせられたというニュースは日本でも有名ではないだろうか。ローマではゲイ・ヴィレッジという巨大フェスティバルで参加者が被害者となる殺傷事件が起こった。イタリアが抱える数々の差別問題に焦点を当てたのが、この本だ。作者はコッリエーレ・デッラ・セーラ紙で社説を担当するジャン・アントニオ・ステッラ(Gian Antonio Stella)。彼は前作『カースト(訳は筆者)』(La casta)では、政治が閉鎖的集団(カースト)を作り上げるという観点から、現代イタリア社会を読み解き、大ヒットを博した。今作はどうなることだろう?