京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝を紹介する会社「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM COCOLOで行っている映画短評について綴ります。

トリノ・エジプト展

先週3月20日から、神戸市立美術館で、トリノ・エジプト展が始まった。
10年前の懐かしい記憶が甦り、久々にキーボードをカタカタとたたいてみる。
私が大学でアラビア語を学んでいたのだが、そのきっかけは、ベタに古代エジプトに興味があ ったからだ。
私が実際に古代エジプトの遺物に初めて触れたのは、大学2年生の春休みに訪れたイタリア・トリノのエジプト博物館だった。
ちょうどその一年前、生まれ故郷トリノを訪れたポンデ雅夫が送ってくれた絵葉書も同博物館 の猫のミイラだったことを覚えている(あの人たちは猫までミイラにしていたのだ!)。

イタリア王国の首都であったトリノには、王宮や王立劇場、ポルティチと呼ばれる柱廊のある古い建物がそこかしこに今も残り、ローマとは一味違う、おフランスの雰囲気を漂わせる街並みが広がる。そんなトリノ旧市街のど真ん中に、エジプト美術館もやはり柱廊の下に控えている(日本の商店街と同じで、雨でも濡れずに行けるのだ)。

トリノと言えば、フィアット、つまり、自動車の町。勢いたっぷりに訪れた自動車博物館の後で、余った時間でも潰すかと冷やかし程度で訪れたエジプト博物館だったが(当時は大学に入った頃の古代へのロマンよりフィアット・チンクエチェントの可愛さに心を奪われてしまっていたのだ…。ああ、薄情な私)、そのスケールの大きさと所蔵品の豊富さに圧倒された記憶がる。

数千年の時を経た死体と顔を突き合わせるというミイラの時空を超えた神秘性に素直感動し、スカラベや首飾りなどの宝石類のあまりの美しさに目を見張った。

10年ぶりとなるトリノ・エジプト博物館の収蔵品との再会が楽しみだ。

神戸市美術館(トリノ・エジプト展 3/20-5/30)