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京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝紹介グループ「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM802で行っている映画短評について綴ります。

イタリア映画界の異端児 アゴスティの世界@吉祥寺バウスシアター③

吉祥寺バウスシアターで開催しておりました「イタリア映画界の異端児 アゴスティの絵世界」は、一昨日、無事楽日を迎えることができました。
お忙しい中、そして寒い中、たくさんの方にお越しいただき、誠にありがとうございました。

今回の映画祭の会期中、2回のトークイベントがありました。1回目は先日ブログにも書きました通り、12/9(金)ライムスター宇多丸さんとドーナッツクラブ代表の野村のトークイベント「アゴスティ入門 商品化されない表現の魅力」でした。
そして12/10(土)、2回目のトークイベントは『ふたつめの影』上映にあわせて、イタリアと日本の精神医療についてのものでした。
チラシでのご案内は、元朝日新聞社の記者であり、『ルポ・精神病棟』や『精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本』の著者でもあるジャーナリストの大熊一夫さんとドーナッツクラブの野村によるトークイベント(「日本で地獄を垣間見た大熊さんに聞く 精神病院を捨てたイタリアの現状」)の予定でしたが、色んなご縁があって、日本で最初に全開放病棟の精神病院を実現した(三枚橋病院)、石川信義さん(宇多丸さんのお父様)にもお越しいただくことになりました。

吉祥寺バウスシアターの入り口ポスター前にて)

『ふたつめの影』で描かれている、イタリアの北東部のゴリツィアでの精神病院改革が達成された1960年代末頃から、大熊さんはジャーナリストとして、石川さんは医師として日本での精神医療改革のために尽力されてきた方なのです。
同時代に国や立場が異なっても、精神医療改革に全力を捧げていたおふたりですが、その当時の日本には、イタリアで精神医療改革が進められているという情報は全く入ってこなかったのだそうです。

日本では宇都宮病院事件が火を噴いた1984年、「イタリアでは精神病院をなくしたらしい」という話を初めてきいた大熊さんは、イタリアの精神医療改革の地トリエステへ取材に行こう、と決められたのだそうです。
その時に精神科医の目が欲しいということで、それ以前から付き合いのあった石川信義さんをはじめとした精神科医と一緒に視察旅行に行かれたのだそうです。

そんなおふたりは今回のトークイベントで25年ぶりの再会だったそうです。大熊さんと石川さんの関係、フランコ・バザーリアとイタリアの精神医療改革の歩み、イタリア以外の欧米諸国の精神医療の現状、そして、精神病患者の受難の歴史まで、おふたりにお話しいただきました。
会場は立ち見も出るほどの満員御礼で、そして当初の予定の2時間をゆうに30分超えた濃いトークイベントとなりました。
日本の精神医療改革における生ける伝説であるおふたりの熱い話を聴くことができた貴重な機会だったのではと思います。

ここから何か新しい動きが始まるといいな…と思っています。

大熊さんの著書
ルポ・精神病棟 (朝日文庫 お 2-1) 精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本
石川さんの著書
心病める人たち―開かれた精神医療へ (岩波新書) 鎮魂のカラコルム
(文責:ファンシーゆず)