横川シネマでの開催中の「イタリア映画界の異端児 アゴスティの世界」もそろそろ後半戦に突入しました。
昨日まで同じスクリーンで上映されていた『サウダージ』とあわせてご覧になっている方も多いようです。
時間は少し前に戻って…12/23(祝・金)は、10時〜イタリア精神保健改革の父と言われるフランコ・バザーリアの精神医療改革の活動の最初期を描いた『ふたつめの影』を上映。その後は、「地ビールを飲みながらちゃんと考える、日本の精神医療の今後」というトークイベントを開催しました。
日本では一般的に精神病院でしか暮らせないと言われている重い統合失調症の方が地域で暮らせるよう、医者、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、臨床心理士、薬剤師…など医療と福祉の面から24時間365日サポートするシステムACT(包括型地域生活支援プログラム)を日本の民間では初めて実現し、軌道にのせてがんばっている精神科医高木俊介医師(ACT-Kを運営)をお招きしました。
ACTについて、うまく説明しているサイト「ACT-K こころの医療宅配便」
バザーリアとそのお弟子さんたちが実現したイタリア精神医療改革は精神科病院がない社会で、高木さん実現したACTとは全く別のものではありますが、どちらも精神科病院に頼らないシステム。
高木さんいわく、「日本では社会的入院が解消されないため一般社会にも『見えない壁』ができてしまい、年間3万人超の自殺者や認知症高齢者の排除につながっている」 のだそうだ。改めて色々考えさせられるトークイベントとなった。
トークイベントのタイトルにもあるように、高木さんがACT-Kを運営だけではなく、精神障害者の就労支援につなげる目的で今年6月に醸造を始めた一乗寺ブリュワリー(ブリュワリー=ビール醸造所)のビールを会場に持ってきてもらっていました。寒い日でしたが、トークイベント終了後に皆でビールを飲みながら、あちこちで熱い話が繰り広げられていました。
これまで何も知らなくても、こうやって映画を観ることを通して、今まで意識しなかった精神医療・福祉について多くの人が考えるきっかけになるといいな…と願っています。
(文責:ファンシーゆず)