京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝紹介グループ「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM802で行っている映画短評について綴ります。

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』短評

FM802 Ciao! MUSICA 2017年12月22日放送分

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「遠い昔、はるかかなたの銀河系で…」というオープニングクロールで始まる、世界で最も有名なスペースオペラ、宇宙を舞台にした冒険活劇シリーズの第8弾。2年前の『フォースの覚醒』から始まった新3部作の2作目にあたります。前作でフォースの力に目覚めた孤独な少女レイは、伝説のジェダイであるルーク・スカイウォーカーのもとに辿り着いて弟子入りを志願するものの拒否され、むしろ驚きの事実を告げられます。レイはルークとの交流を経て、全宇宙の支配を目論むファースト・オーダーに属するカイロ・レンのもとへ。一方、そのファースト・オーダーは、圧倒的な戦力で反乱軍レジスタンスを攻め立て、レイア姫たちが窮地に陥る中、元ストームトルーパーの脱走兵フィン、パイロットのポー、ドロイドBB-8たちは独自の動きで事態の打開を狙います。

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前作でメガホンを取ったJ.J.エイブラムスは製作総指揮に回り、今回はまだ43歳、『LOOPER/ルーパー』で注目を集めたライアン・ジョンソンが監督と単独脚本を務めました。レイを演じるのは、先週扱った『オリエント急行殺人事件』でも堂々たる演技を見せていたデイジー・リドリー。そして、カイロ・レンは、見ようによっては僕に似ているアダム・ドライバー(どんな紹介だ)が演じる他、マーク・ハミルキャリー・フィッシャーといったエピソードIVからの俳優陣も出演していますが、残念ながら我らがレイア姫キャリー・フィッシャーは昨年末に亡くなってしまい、これが遺作となりました。
僕も大阪エキスポシティで観てまいりました。もちろん、僕が呼ぶところの大仏IMAX次世代レーザーですよ。すごい迫力でした。それでは、賛否両論、感想が光と闇の如く二分されているやりにくい状況の中、マチャオの3分間の映画短評ウォーズ、今週もいってみよう!

エピソード8は、「最後のジェダイ」というタイトルが暗示するように、テーマは世代交代です。もっと言うと、これまでスカイウォーカー家を軸として展開してきた特殊な血筋の人々の物語の民主化ですね。「フォースの覚醒」のラストで、レイがルークのもとを訪れているので、ここは触れていいでしょう。最後のジェダイとは、はっきりルークのことです。ジェダイは銀河系の自由と正義を守るフォースの使い手という存在ですけど、これまでは選ばれし者、つまり血統がものを言っていたわけです。それが、新三部作では、レイの登場により、努力次第で後天的に誰にも操れるものになるのかもしれない。そんな可能性が提示されたのが今作なんじゃないかと。確かにそれは開かれた美しい話のようには思えるけれど、ある種の神秘が失われる危険もあると思うんですよ。僕がそう感じたのは、ルークがレイに「フォースとは何か?」と質問する場面です。え? そんなに簡単にフォースを言語化していいの? それはみんなが何となく定義するあやふやなものだから良かったんじゃないの? ルークが予備校の先生に見えてきましたよ、僕は。

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こうした懸念は、その後次々と現実のものとなります。つまり、フォースが単なる超能力、はっきり言うと、物語運びに都合の良い、何でもありの便利な力になってしまったんですよね。シリーズを追いかけてきた人ならば、冷静に見れば誰でも気づくでしょう。今作から出てきたフォースの新しい側面がものすごく多いことに。レイアにしろ、レイにしろ、レンにしろ、ヨーダにしろ、ルークにしろ、「そんなことできるん!?」っていうことをやられると、これまでの物語は何だったのかと考えざるを得なくなりますよ。

 

もうひとつ残念だったのは、やはり脚本の問題なんですけど、尺はこれまでで一番長いのに、スケールが小さく感じられることですね。レジスタンスとファースト・オーダーの攻防が一方的すぎるというか、レジスタンス側の無策が過ぎるんですよ。今回はどちらのサイドでも世代交代が行われるんですけど、その展開がどう考えても乱暴です。レジスタンスの皆さんは、もっとコミュニケーション取って! 意思疎通のなさが原因のミスが多すぎる。時間がないのでひとつひとつは挙げませんが…。ともかく、その結果、自己犠牲の精神でカミカゼ的な、「」付きの「美しい」犠牲を用意されても感動はできないです。

 

以上、ネタバレを極力避けつつ、僕が思う、というより、冷静に見ればわかる問題点について軽く触れましたが、僕は興奮している人がいるのもわかります。理由はふたつ。ライアン・ジョンソンの画作りがカッコイイのと、とにかくどんでん返しが多いことでしょう。だから、観てる時はアガるんですよ。だから、もちろん良いところだってかなりある。キャラクターもこの3部作はアジア系が活躍するし、クリーチャーも多いし、確かにディズニー的多様性が発揮されていて、とても良いと僕も思います。でも、帰納法的に用意されたどんでん返しの連続は決して上品じゃないし、先週も言ったことだけど、画面の雰囲気だけで持っていこうとするのは無理がありますよ。興奮から醒めればメッキが剥がれるわけですから。

 

厳しく言ってはきましたが、僕は方向性は間違っていないと思うんです。やり方が乱暴だと言ってるだけで。これを踏まえ、J.J.エイブラムスがどう風呂敷を畳むのか、2019年が今から楽しみです。

さ〜て、次回、12月29日(金)の109シネマズ FRIDAY NEW CINEMA CLUBで扱う映画 aka「映画の女神様からのお告げ」は、『8年越しの花嫁 奇跡の実話』です。「♫幸せとは〜」という歌い出しで802でもお馴染みのback number『瞬き』が主題歌ですよね。あなたも観たら #ciao802を付けてのTweetをよろしく!