ドン・キホーテをジョナサン・プライス、トビーをアダム・ドライバー、トビーの上司ボスをステラン・スカルスガルド、その妻をオルガ・キュリレンコなどが演じています。
『閉鎖病棟 -それぞれの朝-』短評
鶴瓶さん演じる元死刑囚の秀丸も、そもそもの事件についてはまぁわかりましたけど、その後、彼が何をどう思って暮らしているのかってことが、伝わりきっていないのかなと思いました。普段、僕は映像できっちり語ろうとする映画が好きだ、そうあるべきだって言っていて、平山監督ははっきりその方向です。役者を信頼して、皆さんベスト級の縁起を披露されています。それだけに、脚本が及んでいない部分もあるというのが、僕の見立てです。
映画『蜜蜂と遠雷』短評
さ〜て、次回、2020年6月2日(火)も、まだ引き続き「お家でCIAO CINEMA」です。スタジオにある映画神社のおみくじを引いて今回僕が引き当てたのは、『閉鎖病棟-それぞれの朝-』でした。精神科病棟を題材にした作品。実はイタリアは公立の精神科病院をとうの昔に廃絶した国でして、僕はこのテーマ、かなり関心があり、同様のテーマのものをそこそこ観ています。あなたも鑑賞したら、あるいは既にご覧になっているようなら、いつでも結構ですので、ツイッターで #まちゃお765 を付けてのツイート、お願いしますね。待ってま〜す!
『アナと雪の女王2』短評
脚本と共同監督には、ジェニファー・リー。もうひとりの監督は、クリス・バック。どちらも前作から続投となっています。男女、ベテランと、2010年代に活躍を始めたコンビですね。声の出演は、エルサをイディナ・メンゼル、アナをクリステン・ベル、日本ではそれぞれ松たか子と神田沙也加など、続投しつつ、オラフはピエール瀧から武内駿輔に変更されています。
ここで浮上するのが、もうひとつのテーマである国家のあり方です。今のアレンデールは、かつて敵対もしていたノーサルドラという民族との和睦があって成り立っているのだということが、前半で明らかになります。ノーサルドラは、近代国家というよりも、自然ともっと密接な関係を持った、アニミズム的な先住民と理解して良いんだろうと思います。モデルとなったのが、実際の北欧の先住民、サーミ人。リスナーのeigadaysさんが昨日リンクをツイートしてくれていましたが、日本ではアップリンクが『サーミの血』というドキュメンタリーを配給していて、配信でも観られるそうです。ともかく、先住民と近代国家の衝突、紛争、軋轢、融和というのは、世界中で行われてきたことで、なんとアレンデールにも負の歴史のあったことが判明するわけですね。
って、含みがあるでしょ? ただ、正直なところ、前作以上にスピリチュアルで観念的な話になっているせいで、オラフやクリストフが狂言回しとしてどんどん笑いは取ってきますが、すんなりとは飲み込みづらいところも多いです。特に、話が大きく動くところが、とにかく精霊だ水の記憶だってことばかりなんで、魔法にかけられたというよりも、なんか僕には肩透かしで、舞台となる、アレンデール、魔法の森、アートハランなどの位置関係など、空間の描き方がぼんやりしていて、かなり掴みづらかったので、2回観ました。圧倒的に2回目の方がわかり良かったのは、僕の方がぼんやりしていたから、だけかなぁ。
『シャザム!』短評
「見た目は大人、中身は子ども」っていうコピーはなるほどその通りだしやっぱり面白いと思いつつ、妙な既視感が付きまとったんですが、昨日読売テレビに行って理由がわかりました。名探偵コナンなんですよ。結論、『シャザム!』はコナンである。っていくらなんでも雑な話ですが(そもそも逆だしね、逆。)、共通している要素もあります。特殊能力の設定もそうですけど、特に仲間で一緒になって敵に向かっていくってのは、似通っているんじゃないでしょうか。
まずはシヴァナですが、あの人はこれまたかなり気の毒でしたよ、僕に言わせれば。映画の冒頭で示される1974年クリスマスのできごと。シヴァナもまた、ビリー同様、幼い頃に魔術師のもとへ召喚されていたんですよね。ビリー同様、彼もまた孤独を感じていたわけです。シヴァナには家族がいたんだけれど、車に同乗していた父と兄からはできそこない呼ばわりされていて、バカにされ、要は血はつながっているのに心のつながりが薄い状態です。さらに気の毒なのは、彼を呼び出した魔術師から、簡単に言えば「君じゃなかった」みたいなことになるわけですよ。そ、そんなぁ! で、まぁ、表面的にはシヴァナのせいとも言える車の事故が起こる。そりゃトラウマにもなるっていうか、あんな妙なヒゲの魔術師に否定されたら、人間ダメになりますって。で、実際に魔術師の力を受け継ぐ存在への嫉妬を燃え上がらせて、邪悪な存在へと堕ちてしまいます。
ビリーはかつてはぐれた母を探しに探して疑似家族に巡り会います。血の通った母へと誘ってくれるのも義兄弟たち。知恵を授けてくれました。で、気づけば、彼ら彼女ら人種も年齢も趣味もバラバラな義兄弟とこそ、本当の絆を育んでいく。これ、ことごとくシヴァナに縁のなかったものですよね。シヴァナの周りには7つの大罪の魔物たち。ビリーの周りには愛おしい仲間・家族たち。そしてこの両者の全面対決へというくだりで、SHAZAMという言葉の意味も明らかになってきます。要は、彼ら義兄弟それぞれに与えられた力の名前の頭文字を合わせると、シャザムになる。ってのは、はっきり言って描写がおざなりっちゃおざなりです。なおかつ、シヴァナとビリー、力が与えられるかどうかの資格のようなものの違いについてもぼんやりしているため、僕のようにシヴァナがだんだん不憫に思えてくる人がいてもしょうがないのでは?と思ってしまいました。ただ、続編もありそうだし、不憫なヴィラン、理のあるヴィランは物語を豊かにしますから、不憫でもいいっちゃいいんですけどね。
それにしても、あの魔物たちのグロテスクな登場の仕方や音の使い方なんかには、ホラー出身のサンドバーグ監督らしいアイデアが光っていたし、全体として、メッセージも含めて、僕は満足しました。何より、とにかくユニバースが複雑っていうマーベルに対して、それぞれのつながりよりも単体として楽しめることを優先したDC、この方向性は間違っていないと素直に感じられる1本でした。
さ〜て、次回、2020年5月19日(火)も「お家でCIAO CINEMA」です。スタジオにある映画神社のおみくじを引いて今回僕がついに引き当てたのは、『アナと雪の女王2』でした。公開当時も、配信開始してからも、何度となく候補に上がり続けいたものの当たっていなかったアナ雪。いよいよ僕もイントゥ・ジ・アンノウンですよ。あなたも鑑賞したら、あるいは既にご覧になっているようなら、いつでも結構ですので、ツイッターで #まちゃお765 を付けてのツイート、お願いしますね。待ってま〜す!
『エクストリーム・ジョブ』短評
彼らはミッションを達成できるのか。まさかのチキン屋全国拡大に恋の鞘当てにお決まりの港での逃げる逃走、戦う闘争まで盛り込みます。こうした脚本の妙に加え、イ・ビョンホン監督は要所要所でCMっぽいシズル感のあるキメの構図や、インチキ・マカロニ・ウェスタン、あるいはジョン・ウー的なスローを挟むんだけど、すっかり見慣れた麻薬班の面々を改めてクライマックスでひとりひとり紹介する時を思い出していただきたい。最後の最後で明らかになる、彼らのさらなるぶっ飛び能力の数々と、それまでの不甲斐なさがあったから生まれるギャップの笑い。かっこいい絵なのに爆笑してしまう。そして、最後の一騎打ちは、『紅の豚』のラストばりの、情けなさ(笑)
映画『新聞記者』短評
さ〜て、次回、2020年5月5日(火)も「お家でCIAO CINEMA」です。スタジオにある映画神社のおみくじを引いて今回僕が引き当てたのは、『エクストリーム・ジョブ』でした。1月に公開されて、現在は期間限定先行配信中のこの作品。配信料金が1200円と少々お高いんですが、高い評判を聞くにつけ、その価値はあるでしょ。昼はフライドチキン店で、夜は麻薬潜入捜査官とか、面白いに違いない。そして、おいしいに違いない。そりゃ映画館で観るのがベストですが、家ではフライドチキンを食べながら観られるってのも、この際の利点としましょう。あなたも鑑賞したら、あるいは既にご覧になっているようなら、いつでも結構ですので、ツイッターで #まちゃお765 を付けてのツイート、お願いしますね。待ってま〜す!