京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝を紹介する会社「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM COCOLOで行っている映画短評について綴ります。

With A Little Help From My Favorite Musicians

どうも、僕です。18日の SWINGIN’ SUNDAY を引きずって、もう少し受験のトピックでお付き合いください。今日は英語のお話。ボキャブラリーやイディオムを増やすときに、僕はよく音楽の歌詞を使っていました。洋楽を楽しみながらも、ジャケットを精読するわけ…

中庭にある風景 〜エピローグ〜

このあいだパリに行ったとき、シャンゼリゼ通りにあるラデュレというお菓子屋さんに立ち寄りました。マカロンという名のお茶菓子が非常に名高いラデュレは、東京の銀座かどこかにも店舗があるらしいのですが、天下のシャンゼリゼ通りにある本店の門構えはや…

彼氏と彼女の文学史

男性作家にとって、女性関係はしばしば作品を書く原動力になるようです。ダンテ・アリギエーリ(Dante Aligheri)は、9歳のときにベアトリーチェに出会い、後に、彼女の絶対的な美とともに昇天する冒険譚をつくります。世界最初で最大のひきこもり、ジャコ…

ジェーン・グドール博士、来洛!

どうも、僕です。僕の古くからのイタリアの友人に、アレッサンドロ・ベーという男がいます。ローマへ留学していた際に久しぶりに会ってみたら、彼はいっぱしの写真家になっていたんです。個展を開催するというので駆けつけてみると、国連平和大使であり、霊…

空にうかんだ大きなクエスチョンマーク

Spinaceto pensavo peggio! Non e per niente male! スピナチェートはもっとひどい所かと思っていた! ぜんぜん悪くないじゃないか!(訳は筆者) これは映画『親愛なる日記』(Caro Diario、1993年)の中でナンニ・モレッティ(Nanni Moretti)が発した名言…

この秋、トレヴィが黒く染まる〜     (旧ウェブサイトコラム『ローマから遠く離れて』)

「2008年11月1日と2日、トレヴィが黒に染まる」。アドリア海での電脳波乗り(あ、イタリア語のサイトでネットサーフィンしていたってことです)していると、こんな見出しに遭遇した。なんだかテロの予告みたいでおどろおどろしい。でもよく読んでみると、…

YAが気になる 2008/10/02

まず、はじめに。 いらっしゃるはずはないと思いながらも、もしも私のコラムを楽しみにしてくださっていた方がいらっしゃるなら、再開にあたり、須賀敦子について書くことは一旦お休みし、コラムのタイトルどおり興味のおもむくままに飛びまわることをどうか…

平成のチェッカーズ

どうも、僕です。今日のSwingin' Sundayでは、僕の着ていたシャツが猟師さんみたいだと直子先輩に言われました。確かに。京大卒で現役の猟師さん、千松信也さんの『ぼくは猟師になった』について番組内で話しただけに、けっこうタイムリーな服装だったなと嬉…

コロッセオの近くに

初めてできたぼくのイタリア人の友達は、ダニエーラという名前の女の子でした。地方から出てき学生で、ローマのモンティ地区に下宿し、大学では日本語、日本文化を勉強していました。そんな彼女の家に遊びに行ったときのことでした。コーヒーでも飲みに行こ…

マイ・ライフ・アズ・ア・ズィンガリ〜

風の民ジプシー。陽気に歌い踊り幌馬車で旅をする。そんな彼らのプラス・イメージをぼくが初めて知覚したのは、手塚治虫の『リボンの騎士』だったでしょうか。いっぽう、他国に逃げ出し寄生するように街を徘徊するジプシー。そんなマイナス・イメージを知覚…

縁は異なもの、味なもの(ドーナッツ盤 ドーナッツ版) (旧ウェブサイトコラム『ローマから遠く離れて』)

著者である僕の身に降りかかった突然の多忙と、僕個人の諸案件処理能力の頼りなさと、さらにはほんの少しの怠慢のおかげで、先月のコラムを休載いたしました。万が一ご期待くださっていた読者の方がおられましたら、謹んでお詫び申し上げます。 僕たちドーナ…

チネチッタでイタリア・メディア黙示録

もう去年のことになりますが、イタリアのテレビに出演したんですよ。ええ、それはたいへん光栄な体験でした。ことの始まりは日本人とイタリア人のハーフの友達、ジュリアーノが紹介してくれたのです。彼は過去に何度か映画やドラマのエキストラとしてチネチ…

京都色、濃いめマガジン 京都CF8月号

どうも、僕です。突然ですが、昨日、1日に発売された京都CF8月号に、僕、DJ MASAO のインタビューが掲載されています。ぜひとも、本屋さんで手にとってご一読ください。「ラジオじゃ聞けないDJの素顔に迫る」ということのようです。確かに、迫られたよ…

ウフ。

どうも、僕です。誰もが幸せになる 1日3時間しか働かない国作者: シルヴァーノ・アゴスティ出版社/メーカー: マガジンハウス発売日: 2008/06/26メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 24回この商品を含むブログ (15件) を見る誰もが幸せになる『1日3時間し…

あったか〜いきもち

どうも、僕です。22日のSwingin' Sundayはいかがだったでしょうか。久米村さんに「これからは『直子先輩』と呼ぶように」というお達しをいただいただけでも、十二分にドギマギしてしまっていた僕ですが、番組内で僕の手作り料理「トリッパ(ハチノス)のロー…

その男、詩人につき

ラルゴ・アルジェンティーナからチンチン電車でテヴェレ川を越えてすぐのところに、トラステーヴェレ(Trastevere)という地区が広がっています。そこはいわゆる飲み屋街。うまいピザ屋にエノテーカと呼ばれるワインバー、レストランやブック・カフェ、昔か…

旅人たちのローマ

すべての道はローマに通ず。詩人ジャコモ・レオパルディ(Giacomo Leopardi)は生まれてはじめて故郷レカナーティから足を踏み出し憧れのローマを訪れました。しかし薄汚れた外界にすっかり打ちのめされて、再び故郷に帰っていきました。ジェイムス・ジョイス(…

ヴァルテル・ヴェルトローニとイタリアの夜明け

今年の1月終わりにイタリアでは第2次プローディ(Romano Prodi)内閣が解散しました。よって次の首相を決める総選挙が4月半ば行われそうですが、その話題で現在メディアは大揺れしています。次の首相と予想されるのは、まずは嫌われ者のシルヴィオ・ベルル…

須賀敦子とナタリア・ギンズブルグ 〜『ある家族の会話』を読んで〜 その7  2008/02/25

ナタリア・ギンズブルグの『ある家族の会話』には、家族の共通の記憶としていくつかの詩が出てくる。それは、偉大な詩人の詩ではなく、家族の誰かしらが面白半分でつくった言葉遊びのようなものから、幼い頃にどこかで聞きかじった詩、それも途中からは忘れ…

須賀敦子とナタリア・ギンズブルグ 〜『ある家族の会話』を読んで〜 その3 

男のように書くということ、女のように書くということ。 これは男性的な文章だ、女性的な文章だという議論も、批判も、口先に上ることさえ今はなくなっている。私は女だけれど私のこういう部分は男性的だといった会話は時々聞かれることだし、男らしさ女らし…

南部人よ、「市民」となれ 〜パットナムの本を読んで〜

今年の7月にイタリア旅行をしたとき、イタリア半島を北から南へと移動しました。北に位置するミラノ、ジェノヴァ、ヴェネツィアより、中部のローマ、南のナポリへ。北は落ち着いており、洗練されている印象を受ける一方、南部は活気があり、人情味あふれる印…

須賀敦子とナタリア・ギンズブルグ 〜『ある家族の会話』を読んで〜その2

ナタリア・ギンズブルグ(Natalia Ginzburg)は1916年に、トリエステ出身のユダヤ系イタリア人で大学教授である父と、ミラノ出身の母の間に五人兄妹の末っ子として、トリノで生まれている。ブルジョワ家庭のしきたりで、小学校課程を母の個人教授で済ませて…

須賀敦子とナタリア・ギンズブルグ 〜『ある家族の会話』を読んで〜その1

きっちり足にあった靴さえあれば、自分はどこまでも歩いていけるはずだ。そう心のどこかで思いつづけ、完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら、私はこれまで生きてきたような気がする。行きたいところ、行くべきところぜんぶにじぶんが行っていないの…

アントニオ・ネグリってどんな人? 〜政治活動と『<帝国>』〜

みなさんがお住まいの地域は梅雨に入りましたか? 僕の住む大阪はどうやら今週から梅雨入りらしく、生暖かい空気の中、空から雨がばらばらと降り出しました。じめじめしていますし、外に出るのが億劫になる、やっかいな季節です。それでも、一年に一回はやっ…

須賀 擬音語・擬態語? 〜自然の音を言葉として聞く?〜

蛍が飛び始めると、夜気の匂いもぐっと濃さを増し出す。 私の生まれた町には、黒川という小さな川がある。両岸が青々とした川草に覆われ、山手から町を南へ下るように流れている。毎年この時期になると、何千という自然のかわいらしい光が瞬きながら、川底を…

スイミー (旧ウェブサイトコラム『小噺パラダイス』)

どうも、有北です。 さてひさかたぶりにこうして顔を出しておいてなんなんですが、今日はちょっとしたお知らせです。皆さんご存知の通りこのドーナッツ・コラム群は当「有北クルーラーの小噺」だけ書式が違います。いわゆるジオログ、Yahoo!ジオシティーズが…

il nuovo barbiere(有北の場合)  (旧ウェブサイト『小噺パラダイス』)

そのとき僕を担当してくれたのは、はじめて見る、若い女性の美容師さんでした。口数は少ないが笑顔は絶やさない、落ち着いた女性です。悪くありません。僕は安心して彼女に身を預けていました。しかしです。その化けの皮が剥がれるのは、時間の問題だったの…