どうも、僕です。
前回は愛用の自転車スピッツを話題にしましたが、先日大阪でBIJINという名の自転車が駐輪してあるのを目にして絶句しました。
★★★
スピッツはまだわかる。小さい自転車だから、ある種の比喩として名づけられたのだろう。しかし、「美人」はどうだ。やっぱり小さな自転車なのだけれど、その黒の車体には、特に女性を思わせる要素、しかも美しい女性らしき部分は見当たらない(写真は赤ですが、僕が目撃したのは黒でした)。じゃあ、なんなんだ。アルファベットで書いてみたところで、その違和感はいささかも解消されない。
もしかしたら、乗り手が美人であるところに由来するのだろうか。だったら、いったいどんな持ち主なのか、一目確認してみたくなってくる。ちょっと待ってみるか。いやいやいや。どう考えたって、自転車の名前なんてものは、乗り手が誰であるかなんて想定してないだろう。でも、予め「美人」と名づけられたこの自転車、相当乗り手を選ぶことは間違いない。
だいたい、自転車はまたがるものである。
「美人」にまたがる。しかも、公道で。
なんと大胆なことだろうか。
★★★
とかなんとか、馬鹿なことを考えているうちに、僕も昔とんでもない名前のバイクに乗っていたことを思い出した。
その名はサベッジ。英語で綴ると、SAVAGEだ。
手許にあるジーニアス英和大辞典を紐解くと、名詞としてはこんな意味がある。
* 残忍な人、野蛮人のような人
* 不作法者
* <米俗>やたらに逮捕したがる若いポリ公
どうやら僕も人の自転車をとやかく言う資格はなさそうだ。まあ、アメリカンタイプのバイクだったから、なんとなく、不作法とか残忍とかいったイメージがあるのはわかるが、最後の意味はなんなんだいったい。僕はどうやら、血気盛んな若いポリ公にまたがって大学へ通学していたらしいことを今ようやく知った。
★★★
しかし、「美人」とのつながりで言えば、僕の友人にはこれまたとんでもない名前のバイクに乗っているやつがいた。バイクの名は、ヴィラーゴ(VIRAGO)。
再びジーニアスの力を借りると…。
* がみがみ女
* 女丈夫
がみがみ女もすごいが、ふたつめがさらに爆発的だ。「じょじょうぶ」と読むのだけれど、要は女傑ということ。僕の友人は「男まさりの女」にまたがる男であったわけだ。
こうなってくると、ほとんど悪い冗談としか思えない。
★★★
しかし、世の中にはいったい何をどう考えてこんな名前をつけたんだという「名づけの謎」で満ちているものだ。数え上げればキリがない。
軽自動車「ムーヴのラテ」。これもすごい。ラテはイタリア語で牛乳だ。それがムーヴするんだから、これじゃ完全に牛乳配達の車じゃないか。販売当時の情報によれば、『ラテのコンセプトは「おおらか新スペース」』なんだそうだ。ますますわからない。
調べてみると、このラテ、カラーコーディネートも豊富だ。たとえばグリーンなんてどうだろう。緑の牛乳。やれやれだ。ラテに許されるのは、白かコーヒーぐらいしかないはず。
どうやら、乗り物は「名づけの謎」の宝庫らしい。またひとつ気になってしょうがないことが増えてしまった。本当はまだまだ例に事欠かないのだけれど、緑の牛乳を想像したところでくらくらしてきたのでこの辺で打ち止めとしておきましょう。
それでは皆さん、また非常に近い将来に。