どうも、僕です。
いよいよ昨夜から、神戸の元町映画館でのアゴスティ回顧上映会がスタートしました。
実は今回からは、アゴスティ監督にごり押しをして、上映素材をを大幅に改善しているんです。現状の監督が持っている最良のプリントから新たにHDでテレシネをしてもらい、そのデータを劣化させないようにブルーレイに焼いて送ってもらいました。あちらでもいろいろとトラブルがあったようで、メールには「困難の峰々を乗り越えて奇跡を成し遂げた」みたいな表現があってつい噴飯してしまいましたが、実際に向上した画質を目の当たりにすると、なるほどもろもろの壁があったのかもしれないなとうなずけたしだいです。
イタリアから素材が届いてからも大変でした。字幕については、前のデータを貼り付けるだけでいいだろうと気軽に考えていた自分を含めた数週間前のスタッフ全員を、タイムマシンに乗って張り倒しに行きたいくらいです。映像をチェックすると、これまで上映してきたものとバージョンが微妙に違ったりしたんですよ、これが。そこで監督に確認を取ったり、文献にあたったりしつつ、結局はすべて字幕をセリフと照らし合わせる作業が必要となりました。もともとちゃんとした台本がないので、セリフはディクテーションが基本です。もちろんイタリア人スタッフの力も借りてはいますが、ヘッドホンをして、何度爆音で聴きとりにくいセリフに耳を済ませたか知りません。
そうした「困難という名の霊峰」をなんとか登りつめての、昨夜の開幕です。大阪ドーナッツクラブの映画プロジェクト、ドーナッツ・フィルムのスタッフはみんな、感慨もひとしおでありました。
でも、もちろん上映はむしろこれから。より多くの方にご覧いただけるよう、僕たちも含めて関係者の皆さんのお力と情熱をお借りしているところです。
昨夜は「アゴスティ入門」と題してトークショーを行いましたが、質疑応答では「アゴスティ作品のDVD化を望んでいる」というお声も直にうかがうことができて、とても励みになりました。FM802で僕が担当している番組NIGHT RAMBLER MONDAYで概要の告知とチケットプレゼントをしたときにも、あたたかいメッセージをリスナーからいただいて、感銘を受けました。
さらに、朝日新聞で大きく取り上げていただいたり、ラジオ大阪で元町映画館の大木さんがPRされたこともあって、問い合わせも多くいただいています。
とりわけ今回ジャパンプレミアとなっている『ふたつめの影』には、日本の精神医療の現場の方々からも反響があり、映画上映冥利に尽きるといったところです。
23日は精神医療の専門家でいらっしゃる松嶋健さんをお迎えしてのトークショーもやります。気さくで愉快痛快な語り口の松嶋さんから、貴重なお話がたくさんうかがえるはずです。
2週間にわたる上映の初日を終えて、これまでの経緯をざっとまとめてみました。皆さんのたくさんのお運びを心よりお待ちしております。
それでは皆さん、また非常に近い将来に。