京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝を紹介する会社「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM COCOLOで行っている映画短評について綴ります。

エドアルド・レオ特集上映 字幕翻訳者が語る『黄金の一味』

私、セサミあゆみは今回、「黄金の一味」の字幕制作を担当しました。

この作品には、イタリアの事情を知らないと少しわかりにくいだろうな、というところがいくつか。語りすぎて野暮にならなければいいのだけれど、知っていると映画をより楽しめるだろうイタリア情報を少しだけお伝えします。

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白黒の縦じまユニフォームのユヴェントス

 

作品の舞台はイタリア北西に位置するトリノトリノには、そこをホームタウンとするプロサッカーチームが二つあります。

一つは言わずと知れた強豪ユヴェントス。毎年のように優勝争いをする、イタリアを代表するチームのひとつなので、サッカー好きでなくとも耳にしたことがあるのではないでしょうか。白黒の縦じまのユニフォームで、現在はクリスチアーノ・ロナウドも所属。トリノに限らずイタリア全土、どこにでもファンがいる。ある意味、巨人のようなチームとでも言えるでしょうか。

そしてもう一つ、別のチームがあるのです。えんじ色のユニフォームのトリノFC。Toro(雄牛)の愛称で呼ばれるのを耳にします。成績はユヴェントスほど振るわず、セリエBに降格したこともしばしば。ユヴェントスを知る日本人でも、トリノFCは知らないことが多いでしょう。

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トリノFCロゴマーク

 

とはいえ、トリノFCにも、飛ぶ鳥を落とす勢いでセリエAを連覇し続けた時代がありました。そして、そんなときに悲劇が起こります。1949年、前年までセリエA四連覇を果たしていたトリノFCは、その年の優勝も間近に控え、国際親善試合から帰還するときのことでした。選手やチームスタッフを乗せた飛行機が、トリノの郊外の丘の上に建つスペルガ聖堂に突っ込んだのです。選手やチームスタッフ、搭乗者全員が死亡しました。

ガンバ大阪セレッソ大阪大阪ダービーのように、同じ町をホームタウンとするチーム同士はライバル心が芽生えやすく、試合が盛りあがるのはイタリアでも同じ。「黄金の一味」には、強豪ユヴェントスファンと、古豪トリノFCファンが出てきます。両者のやり取りに注目ください。

また、北部は勤勉で、南部は怠け者といった、イタリアおなじみのステレオタイプ像も出てきますが、残念ながら(あるいは力不足で)、方言の音が伝えるセリフのニュアンスを字幕には載せられませんでした。ですが、ぜひ登場人物の出身地も気に留めながらご鑑賞ください。

最後に、「黄金の一味」が狙う現金輸送車が運んでいるお金の額について。「40億リラほどではないか」というセリフがあります。40億リラは日本円に換算すると、およそ2億5000万円ほどでしょうか。このセリフの後にも、金額を推測する数字がいくつか出てきますが、参考までに。

以上、過剰な前情報にならないことを願いつつ、「黄金の一味」をぜひお楽しみください。

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ビリヤード場で北部のイタリア人ザーゴと「南部野郎」メローニとルチャーノが邂逅する……

 

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『黄金の一味』が劇場で見れる機会はあと4回!

アップリンク吉祥寺にて

10月20日(火)20時40分~

10月24日(土)時間未定、おそらく夕方

 

アップリンク京都にて

10月24日(土)17時10分~

10月27日(火)20時~

 

あ、「予定が合わへんわ~」という方はアップリンク・クラウドでのオンライン上映会で10月30日~11月7日まで視聴可能ですよ!

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そしてイベント開催にあたり、難しい状況下でイベントの意義を汲み賛同してくださった協賛社さま、ありがとうございました! 今回は、バッグとベルトの気鋭ブランドFattoria del cuoioをご紹介。

 

Fattoria del cuoioとは革なめし工場の意味。

ミラノでヴィンテージの素材を活かしたオリジナルリメイクアイテムのデザイナーとして腕を磨き、日本に帰国後イタリア製ベルト・バッグブランドTIBERIO FERRETTIの企画とブランディングを務めた(株)コマコ・オフィチーナ代表の駒井氏が、トスカーナ州の小村モンスンマーノを拠点に、2019年春夏から新たに立ち上げた新ブランド。彼らと手を組んだのは、イタリア国内外の大手ブランドのベルトを多数手がける100%トスカーナ生産の由緒ある革工房の凄腕職人たち。すでに10年以上にわたり共に仕事をしてきたここモンスンマーノで、職人たちが培ってきた革小物の品質とこだわりに、TIBERIO FERRETTTIの企画で鍛えられた駒井氏の発想力と独創性が混ざり合う。クリエイティブでありながら高品質を保つ魅惑の新ブランドを、日本から発信し、育て上げていく。

 

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