京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝を紹介する会社「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM COCOLOで行っている映画短評について綴ります。

Netflix『シティーハンター』短評

FM COCOLO CIAO 765 毎週火曜、朝8時台半ばのCIAO CINEMA 5月14日放送分
映画『シティーハンター』短評のDJ'sカット版です。

日本では初めてとなる実写化ですね。北条司の大人気コミックおよびアニメの舞台を現代の新宿に移しました。新宿の裏社会で起こるトラブル処理を担うスイーパー、始末屋の冴羽獠。彼は相棒の槇村秀幸とともに、有名なコスプレイヤーくるみを捜索する仕事を請け負います。ところが、槇村は突発的な事故に巻き込まれてこの世を去り、その場に居合わせた妹の香が、今度は獠に事件の真相を調べてくれと迫ります。獠はしぶしぶ香の言うことを聞くのですが… 

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監督は『キサラギ』の佐藤祐市です。冴羽獠を鈴木亮平、槇村香を森田望智、槇村秀幸安藤政信が演じる他、獠の腐れ縁である女性刑事冴子に木村文乃コスプレイヤーくるみに華村あすかが扮しています。
 
僕は先週金曜日の午前中に自宅のテレビ、Netflixで鑑賞しました。それでは、今週の映画短評、いってみよう。

結論としては、鈴木亮平あっぱれということになる作品です。とにかく、鈴木亮平の役作りにかける情熱ですよ。極限まで脱いでのダンスシーンもあるんだからと身体づくりを心がけ、冴羽獠に扮する以上は拳銃の扱いにも長けていなければならないと海外に出向いて練習を積み、僕が感心したのは声色ですね。アニメ版の声優神谷明の声に絶妙に寄せる発声法を会得していましたもの。しかも、劇中ではテレビからのアナウンサーの声として神谷さんも出演されているんです。そんな共演が実現するなんてのがまた憎い。実写版のキャスティングとして、鈴木亮平はもう100点以上の点数を叩き出してしまっていますので、なんの違和感もなく、それどころか実写ですから文字通り立体的に冴羽獠の動く姿を楽しめるという意味で最高の配役、最高の努力、最高の技術でもって体現されているわけです。だからもう、言う事なし、としたいところではあるものの、冷静に作品として観ていくと、そりゃ気になるところ、長所短所ありますので、それぞれ触れていきます。
まず、原作だと80年代が舞台だったものを現代の新宿に置き換えたことは大きな変更ですね。これは現実的なところを言えば、予算の問題も大きかったのだろうと推察します。当時の街並みや行き交う人々のファッションなんかもすべて実写でやるというのはかなり大変ですから。でも、逆に言えば、令和版冴羽獠という新たな魅力をロケも取り込みながら、本物の新宿も使って撮影できるというのは大きなアドバンテージになるわけで、そこは脚本ベースの細かいチューニングがわりとうまくいっている印象です。駅の伝言板という依頼方法もスマホよりも痕跡が残りにくくて良いかもしんないなんて思わせるものがあったし、今や誰も見向きもしない一角にひっそり残っている可能性もあるように見せていました。愛車がミニってのも、あの男なら旧型をしっかり乗り継いでいそうだし、Googleマップスマホで使っているあたりも細かいけどニヤリとしました。そういったチューニングを経ての、特に序盤から中盤にかけてたくさん見られる新宿のロケシーンが良いです。冴羽獠が今の新宿に溶け込んでいて、撮影は大変だったと思いますが、特にコスプレイヤーのくるみを追いかけるくだりやエキストラを多数動員しての雑踏の部分もそうだし、何気ないところもやっぱりロケの魅力は活かせていました。だからこそ、というべきでしょうが、惜しむらくはその現代の新宿が舞台であることが後半になるとあまり発揮されなくなることです。
これは原作に忠実にということもあるのでしょうが、もともと原作にあったエンジェルダストという日本進出を狙う海外の麻薬密売組織によって売りさばかれたドラッグがあるというアイデアをベースに脚本を広げて、槇村秀幸の死と香の関係など、新しいシティーハンターの起点となるような物語に再構築していることが要因なんですが、どうしても必ずしも新宿である必要のない、言わば舞台ごと代替可能な物語になってしまっているが故に、途中からは地下であるとか大きなビルの中とか、新宿であることを下手すりゃ忘れるような展開なので、画面に新宿の雰囲気が出てこなくなるんですよね。本当は橋爪功演じる新宿裏社会を牛耳るボスの存在なんかがもっと絡むと、よりシティーハンターっぽくなるのになと思いながら見ていました。セット中心になってくると、今度はのっぺりとした美術の詰めの甘さがどうしても露呈してしまうんですよね。あとはキャストですが、鈴木亮平に力を入れすぎたせいというべきか、他の出演者は誰がどうってこともないんですが、お色気キャラとそうでない人との線引きがはっきりしすぎていないかとか、どうしても思ってしまったのと、意外な悪役ってのがキャスティングの時点で初登場の時点からそう意外でもないなど、もうちょっと入念でも良かったのではないかと悔やまれる点でした。
もちろん、そもそもが荒唐無稽なところもあるわけで、アニメならいざ知らず、実写ではかなり健闘・奮闘しているのは間違いないです。銃の見せ方や下ネタのバランス、冴羽獠の佇まいも含めたシリアスとコミカルのバランスなどはかなり慎重にセッティングされたことがうかがえます。たとえばフランスでの実写版はコメディーに振り切っていましたが、やっぱり本家として日本でやるならシリアス寄りの見せ方もしないとそれっぽくないんですよね。だからこそ、僕は100tハンマーとかどうすんのかなと思っていたら、これはうまく挟んできましたね。そんな手があったとは! などなど、見終わってみんなでワチャワチャ言い合うのには最適です。続編、ないしはシリーズ化するのであれば、海坊主や冴子との絡みももっと見られるかしら。だとしたら、そのあたりは今後の楽しみにしつつ、まずは鈴木亮平の役者としての力量と凄みが世界同時配信で大いに知れ渡っていくことを喜びたいものです。結論。前から思ってはいたが、鈴木亮平、あんたはすごい。

劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)(通常版) [Blu-ray]

シティーハンターはここに来て、劇場版エンジェルダスト、アニメですが今回と同じ原作のエピソードをベースにしているものが去年公開されましたし、フランスの実写版もあるので、見比べてみるのも一興かと思いますね。では、今回は少しバージョンが代わって採用されていますが、ここはオリジナルでTM NETWORKGet Wild

さ〜て、次回2024年5月21日(火)に評する作品を決めるべく、スタジオにある映画神社のおみくじを引いて今回僕が引き当てたのは、実写版『猿の惑星/キングダム』。先週の番組では月曜から木曜まで4日間、Cinema Close-upというミニコーナーを設定して、魅力を少しずつお話していたんですが、そこでは日本版で声優を担当された竹内力さんがコメントも届けてくれていました。僕はメディア試写でディズニーからの招待を受けて鑑賞済みですが、それは字幕版だったので、今度は吹き替えで観に行こうかしら。シリーズの仕切り直しで、ストーリーは完全新作なので、ここからでもまったくもって大丈夫。さぁ、あなたも鑑賞したら、あるいは既にご覧になっているようなら、いつでも結構ですので、Xで #まちゃお765 を付けてのポスト、お願いしますね。待ってま〜す!