京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝紹介グループ「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM802で行っている映画短評について綴ります。

トラブル・オブ・サイクル 3 〜間違った選択〜 (旧ウェブサイトコラム『小噺パラダイス』)

どうも、有北です。
僕は悠々とペダルをこぎ始めました。精神的な余裕からか、『傾斜45度の体感負荷』も気にならなくなってきました。「やれるぞ」。小さく呟く僕。「このまま、いってやる」。しかし、僕のこの油断と慢心を天は見逃しませんでした。不意に僕の死角から車が出現。条件反射的にブレーキを切る僕。しまったと思ったときにはもう後の祭りでした。
負荷、プラス、5度。
まさに、絶句。
落ち込んでばかりもいられない。気を取り直して再びペダルに足をかけるも、さっきまでと比べて格段にしんどい。まいった。どうやらこれは余裕かましてる場合じゃない。ペダルも、気持ちも重い。一刻も早く幸せな我が家へ。もう寒さを感じる余裕すらなくなってる。ていうか暑い。僕はマフラーと手袋を剥ぎ取り、こわきに挟んだままこぎ続けました。
なんの因果でこんな責め苦を。
苛立ちと焦りから、僕は目の前の信号が赤になっていることにも気づきませんでした。
直前で気づいてブレーキに手が伸びる僕。いかん。ブレーキはいかん。チャリは車道に突入。人外の反射神経で左右に目を遣り、一台の車を視認。こちらに向かってくる。一刻の猶予もならない。誤った判断も許されない。いくか、戻るか。ふたつにひとつ。ゴー・オア・バック。ゴーはクライム、承知の上。危険すら伴う。しかし戻るにはブレーキを余儀なくされる。これらの諸事情を総合した上で。
いける。つっきれる。
むしろ、いく。つっきる。
強い覚悟と意志を持って僕はブレーキではなくむしろペダルに足をかけました。ちらりと車に目を遣ると、まだ距離的には余裕がある。「このタイミングなら、いける」。確信すらあった。
しかし、その一瞬の慢心が、さらなる悲劇を生んだのです。   (つづく)