京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝紹介グループ「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM802で行っている映画短評について綴ります。

『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』短評

FM802 Ciao! MUSICA 2017年8月11日放送分

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連載スタートから30年。現在も第8部が続いています。熱狂的なファンが多い荒木飛呂彦ジョジョが、アニメ化、ゲーム化を経て、満を持しての実写映画化。大河ドラマばりに、いやそれ以上に時代と場所を超えて成立するこの壮大な物語の中で、日本のひとつの街をベースに進行する、つまり最も実写化しやすいだろう第4部がチョイスされました。それでも話は長いので、今回は第一章と銘打っています。ただ、現時点では何部作になるのか、発表はされておりません。
 
杜王町に暮らす高校生の東方仗助。母と警察官の祖父の3人で暮らしている。仗助はスタンドと呼ばれる特殊能力の持ち主。触れるだけで他人の怪我を治し、破壊されたものを修復できます。ある日、仗助の甥だという年上の男、空条承太郎が現れ、そのスタンドの正体を仗助に教えます。時を同じくして、平和だった杜王町では、連続変死事件が発生。どうやら自分とは別のスタンド使いによる犯行だと知った仗助は、町を守るために立ち上がります。
 
仗助を山崎賢人が演じる他、神木隆之介小松菜奈岡田将生新田真剣佑伊勢谷友介山田孝之など、豪華キャストが揃い踏み。監督は、漫画実写化請負人の三池崇史
 
それでは、制限時間3分間の短評を今週もスタート!

20世紀少年』の映画化くらいから顕著な気がするんですけど、ファンが多い漫画ほど、役者にコスプレをさせるようにして、実写で再現しようとしている。それに対して、こいつはOK、こいつはダメと、まるで映画と漫画を見比べて答え合わせをさせるような作り方が目立ちます。下手をすると、漫画のコマ割りを踏襲したようなカット割りやアクションまであって、映画が漫画をトレースする格好になってしまっている。でも、それって、何のための映画化なんだと僕は思うわけですよ。百歩譲って、アニメ化はトレースに近くても構わない。でも、実写にするなら、映画ならではの表現を目指さないと。
 
そういう考えを持つ僕からすれば、今回もやっぱりコスプレ色が強すぎて、正直、馴染むのに時間がかかりました。どう考えても、承太郎の後頭部は実写にすると、おかしいでしょ。ただ、演技に関しては、概ね僕は期待以上に楽しめました。特に、神木隆之介のうまさは、際立ってました。彼が演じるのは、転校生にして映画全体の狂言回しである広瀬康一。康一は、あの奇妙な世界を徐々に知ることで最も変化するキャラクターなんだけど、その分、表情や姿勢まで含め、持ち前の演技の幅の広さを発揮していました。
 
スペインでのロケも、馴染んではきたけど、やっぱり違和感は拭えません。前半から中盤にかけて、山田孝之演じるアンジェロとの闘いくらいまでは、ロングショットもちょいちょい入れてるし、明らかにヨーロッパの町並みに日本語の看板とか、オリジナルの標識も貼っつけたりして、杜王町の無国籍感、それこそ奇妙、ビザールな雰囲気を出していたとも言えます。ただし、後半、特に虹村兄弟との対決あたりになってくると、もう西洋風でしかないうえ、途中からやたらセリフも多くなって画面が硬直化するんです。必然的に映画そのもののリズムもおかしくなるんで、アクションと絵の動きでどう見せるのかという計算が、後半はもっと必要だったはず。
 
一方、スタンドはもうバッチリ。一連のCGはうまく画面に溶け込んでました。バッド・カンパニーの進撃場面は僕が1番アガったところ。「こら確かに怖いわ!」って思えるくらいに、アングルもスピード感も申し分なかったです。コマ撮りアニメを観るような、現実だけど現実でない奇妙さがあったからでしょう。
 
最後に脚本。もちろん、話もキャラも端折ってます。小松菜奈の由花子とか、出て来る順序も変えてます。それが原作と違うからどうとかいうのは、僕にはどうでも良い。それより、映画として構成し直した時に、たとえば警察官のおじいちゃんと仗助の関係とか、虹村兄弟やアンジェロの父親への思いなど、よりタイトな尺の映画だからこそ、父と息子というテーマを軸にしたかったという意図は明確だし、そこは評価できます。
 
ただ、匙を投げるようで悪いですけど、第二章も観ないと判断できないよってくらいに、1本の映画としては成立してないのは、それってどうなのって話です。続きが来月公開っていうなら、まだしも。第一章だけではまとまってないし、現時点では、まだビバ実写化と叫べる要素少なめ、トレース要素多め。とりあえず、評価保留といたします。


さ〜て、次回、8月18日(金)の109シネマズ FRIDAY NEW CINEMA CLUBで扱う映画 aka「映画の女神様からのお告げ」は、『スパイダーマン ホームカミング』です。これもまたしてもシリーズ化するんやろうねぇ。何作続くかはよく知らんけど、とにかく、1本だけ観ても、それだけで楽しめるものを作ってほしい。僕はそう切に願います。観たら #ciao802を付けてのTweetをよろしく!