どうも、僕です。
日本対オランダ戦をドーナッツクラブの仲間たちとプラズマ越しに観戦して飲んだくれた翌日、生き残ったメンバーでふらふらと京都国立近代美術館へ行ってきた。
低い低い梅雨空の下、雨の降っていない隙をついてぼんやりと美術館へ向かうのも悪くない。白川沿いを方角もなんとなく歩いていると、なぜだか無性に動物園へ行きたい気持ちが芽生えてやっかいだったけれど、ドーナッツ仲間のオールドファッション幹太が「俺は一度土砂降りの日にそこの動物園でキリンを独り占めしたことがある」なんてエピソードを披露するものだから、「なるほど。それなら天がバケツをひっくり返したときに行くことにしよう」と、何とか動物園訪問願望をねじ伏せた。
美術館でのお目当ては27日までやっている「ローマ追想 19世紀写真と旅」。これが想像していたよりも楽しかった。1800年代半ばの写真が多かったのだけれど、当時はやはりまだ写真技術も黎明期だったわけだから、露光時間も相当必要だったのだろう。今のように「一瞬を切り取る」というよりは、「写生」に近い部分があったのではないか。動きの速いものはぶれるどころか、写りもしなかったかもしれない。そんなわけだから(おそらく…)、とにかく見る写真見る写真、びっくりするほど人がいない。同行していたシナモン陽子が「当時はかなり人口も少なかったものね」とつぶやくので、「そういう問題じゃないんじゃないかな」とやんわり突っ込んだくらいだ。
こうなってくると、追想どころか人のいないローマというのが新鮮に見えてきて、それと反比例するようにして趣旨がどんどん見えなくなるという不思議な現象が僕たちの脳内に生まれてしまうのでありました。無人のコロッセオを年季の入りまくった写真で見ていると、これはもしかして遥かローマ時代に撮られたものなのではないかという気分になってくるから頭が混乱しないわけがない。
ひとしきり展示を満喫した後は、記念になかなかよくできたカタログを購入。美術館や博物館のブックコーナーって、うっかり触手を伸ばしたくなる発見が頻繁にあるので危険だ。思わぬ出費を防ぐため、財布のひもを固結びにして立ち読みをしばし。すると、やはりいろいろと気になる本があってウキウキしてしまうものの、「興味本位で眼前のおもしろいことばかりに気を取られてうつつを抜かしていると、君の成し遂げたいもっと壮大なおもしろいことができなくなってしまうよ」という天使の声がどこからともなく聞こえてきて、「君の言う通りかもしれない」と本たちをおとなしく書棚に戻した。でも、もしあそこにTOKYO NOBODYが置いてあったりしたら勢いで買ってしまってただろうな…。
- 作者: 中野正貴
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それでは皆さん、また非常に近い将来に。