京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝を紹介する会社「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM COCOLOで行っている映画短評について綴ります。

イタリアのバンド、ゼフィロ(Zephiro)日本上陸

 イタリアのインディーズ・ロックバンドZephiroが4月初めから3ヶ月の間日本に滞在してライブ活動を行う。東京を中心に3日に1回はライブをする計算だから、かなりハードなものだ。Zephiroはイタリア語で「春風」とか「そよ風」という意味で、「ゼフィーロ」と後ろから二番目の母音iにアクセントがつくのだが、このバンド名は一番目のeにアクセントがついて「ゼフィロ」と発音する。素人目に見ても、日本の音楽シーンはとんでもない飽和状態で、イタリアから入念なリサーチもなく身一つでやってきたところで、成功するのは難しいだろう。それでも、日本に行きたいと夢見るイタリアのバンドはたくさんいる中、実現まで漕ぎつけたバンド・リーダー、クラウディオはすごいと思う。そして、これまたひょんなことから、ぼくも手伝うことになった日本語の曲の出来がなかなかいいと満足しているのだ。もともとあったイタリア語の持ち曲に日本語の歌詞をのせるというもので、過去にはミーナ(Mina)やジリオーラ・チンクエッティ(Gigliola Cinquetti)などカンツォーネが流行った時代にも行われていた。ぼく自身、2曲分日本語の歌詞をつくっていて、これはおもしろいと思った。その曲の制作過程は次のようなものだ。

 まず、音源と歌詞カードをもらって、曲の解説を受ける。それからいったん家に持ち帰り、日本語の歌詞を作成にとりかかったわけだが、ここで念頭においたのは、訳というより、リズムやメロディを壊さずに日本語としても原曲に近い意味とイメージを与えるということだ。仮の歌詞が出来上がると、再びクラウディオと会って、彼の前で実際に歌ってみる。クラウディオは日本語を勉強したことがないので、言葉の意味は理解できない。だが、いやむしろだからこそ、ことさらに音の響きや音節に着目してきて、「ここの音の流れが悪い」とか「ここは一音節減らしたほうが歌いやすい」とかの、ダメ出しが入る。彼によると、基本的にぼくは音節を多く入れすぎていたようだ。このようにして歌詞が決定するとテープレコーダーで歌を録音。ボーカル→ハムエッグ、アコースティック・ギター →クラウディオという夢の競演である。キーが高いから何度か声が裏返ったのだが、そんなことよりも日本語の微妙なアクセントや発音が録音できればオッケーというわけで、あっさり録音は終了する。後日バンドでスタジオ録音。残念ながらぼくは立ち会うことができなかったのだが、そこで出来上がった曲は、こちらから試聴できます。その他、彼らのプロフィールやライブ・スケジュールもこちらから。

影(Ombre)

暗闇ではしゃいでたいよ
ぼんやりそう夢みてたんだ
一人ぼっちになること
その危機感もへってるから

クモの巣にかかる虫
羽根はかがやいてる
ふるえる足でドアをけって
知らないふり

まばたきのたび
影がのびるよ
また目開けたら
一瞬で飛び出そう

冷たい体を抱いた
泣きそうな顔を見ないで
星ふる夜にまぎれ
消えてなくなればいいや

遠くから届く声
それが聞こえる
ほほに当たる春風
感じてすすんで

まばたきのたび
影がのびるよ
また目開けたら
一瞬で飛び出そう

C'e' chi vuole saltare nel buio
o rinchiudersi dentro una stanza
chi non vuole restare da solo
per paura di perdersi

Tra le tele che tessono i ragni
sono troppi gl'insetti
breve gelo di quei trabochetti
invisibili

Apri gli occhi guarda che
sono ombre sul muro
una luce e scappano
ti senti al sicuro

Stai tremendo sei nella tempesta
solitudini spazzano via
quando piangono stelle d'argento
i silenzi non lasciano scia

Le incertezze si appoggiano al cuore
non c'e' tempo da perdere
vento zephiro porta calore
ci vuoi rinunciare?

Apri gli occhi guarda che
sono ombre sul muro
una luce e scappano
ti senti al sicuro

太陽のある場所(Lontano da un luogo lontano)

どこへ行ってもまた元に戻ってきてた
ぼくをながめニヤニヤしてる

むかし読まされたおとぎ話 
いつもハッピーエンドだよね
でも楽しくない

太陽の射すほうへ連れ去っていくよ
遠くの光が近づく場所
そんなのウソって笑ったっていいよ
遠くの光が近づく場所

飛び立つ水鳥があげた飛沫 宙に舞って
夕凪も揺れる

ずっと待ちのぞんでたきみの答えは
「たぶん、それもわるくないかも」

太陽の射すほうへ連れ去っていくよ
遠くの光が近づく場所
そんなのウソって笑ったっていいよ
遠くの光が近づく場所

Strada si separano per noi qui
ricongiungersi e lasciarsi fino
in fondo ad una delle tue risate.

Il tuo mondo mi ha rapito
dall'ipocrisia di inno che cantava
favole per poveri dannati.

Nascondo nel petto un impulso latino,
mi porta lontano da un luogo lotano...
Nascondo nel petto un impulso latino,
mi porta lontano da un luogo lotano...

Come un cormorano in volo
il pelo d'acqua tocco e sfioro
tutto col mio corpo libero.

Immaginavi un giorno che distante
dai tuoi sogni, mi dicevi
“forse ha un senso la mia vita”.

Nascondo nel petto un impulso latino,
mi porta lontano da un luogo lotano...
Nascondo nel petto un impulso latino,
mi porta lontano da un luogo lotano...

日本語訳詞:ハムエッグ大輔