京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝紹介グループ「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM802で行っている映画短評について綴ります。

続・シネマテークとは何か、あるいはチネテカとは何か

 初回、第2回とわかったようでわからない話題でしたので、第3回となる今日は、僕にとって唯一無二のシネマテーク、チネテカ・ディ・ボローニャCineteca di Bologna(以下、チネテカ、本来の発音は「チネテーカ」に近いです)に触れながら、もう少し具体的なお話。これを機会に皆さんがシネマテークという領域に「しねまっていこう(潜り込もう)」*1と決意してくださればこれ幸い。

 「シネマテークとは何か」と題した前回は、これからこのコラムの連載でシネマテークについて綴っていく上でのひとつの基準とすべく、それ自体の一応の定義づけ*2をしたはずです。僕がここで「一応」と言うのは、これからコラムが回を重ねるごとに微妙に変化するであろうという可能性と、その上でさらに明確な定義づけを目指すための可能性を含んでいるからです。

 さて、チネテカのホームページを開き、“CHI SIAMO”(私たちは誰か?)をクリックしますとその概要を知ることができます。曰く、 

60年代創設、1989年より国際フィルム・アーカイヴ連盟(Federation Internationale des Archives du Film<FIAF>)の、また発足当時からヨーロッパ・シネマテーク協会(Association des Cinémathèques Europeennes<ACE>)正会員であり、1995年からは自治体による独立機関となる。2000年夏には晴れて、リーヴァ・ディ・レーノ通り(via Riva di Reno)に新しく本部を移転し、活動とプロジェクトを再開する。2003年6月28日に付属図書館とフィルム以外の所蔵品を移転し、旧堵殺場跡地に新しく2つの上映施設を開設し、現在に至る。

 専門機関の名称や、ボローニャを知らなければわからない地名も出てきますが、それを別にすれば、チネテカが現在の姿になったのはここ数年ということは少なくともわかります。事実、数年前まで旧市街地内にそれぞれの施設は散在していたということは、ボローニャに長く暮らすイタリア人の友人たちに何度か聞いたことがあります。現在は、フィルムの保管施設のみが旧城壁の外にあるだけで、それ以外の施設は旧市街地内の北西部、比較的狭い範囲内にまとめて建てられ、かつての上映室のみが今は少し離れた場所に「エウローパ・チネマ」(Europa Cinema)とその名を替え映画館として存続しています。それにしても堵殺場というのは、豚肉(生ハム)で有名なボローニャらしいところですが、かつて豚を解体していたところで現在は映画を保存しているのですから面白いです。

 なるほど引用部ではチネテカの歴史のみならず、そこで用いられている「本部」、「付属図書館」、「活動」、「プロジェクト」、「フィルム以外の収蔵品」、「上映施設」という単語から、シネマテークという存在の骨格が想像できますし、そのあとで補った「フィルムの保管施設」をさらに考慮すれば、ボローニャのチネテカの概要はずいぶん把握できたような気がします。想像と概要ための要素、あるいはシネマテークのキーワードであるこれらの単語についてはこれから追々考えていこうと思いますので、現時点ではあれやこれやと皆さん独自のシネマテークを空想してみてください。

 とりあえずは、前回、「映画全般について保存し、それを公開する役割を担う施設/団体」であり、「上映機能を持つ資料館なのか、あるいは保存機能を持つ映画館なのか、と問われれば、現時点ではそのどちらでもある」ところのシネマテークの定義/全体像から、より具体的な構成要素に分析することによって、その入り口まで僕たちはやってきたのです。言い換えれば、シネマテークというものを理解するために、少なくとも「シネマテークの門」に辿り着けた気がしませんか?
 
 さて、2007年第1回(通算第4回)となる次回は、ボローニャのチネテカに実際に足を踏み入れることによって、「シネマテーク」という依然想像を越えない領域に勇気をもって潜入を試みます。まずは「シネマテーク」を構成する要素の内で最も開かれたひとつであり、最も光の当たる花形とも言える「上映施設」にしねまっていってみましょう。

 僕にとっての2006年はボローニャのチネテカに通い倒したと言っても過言ではない1年でした。皆様はいかがでしたでしょうか。いずれの方も、今年観た映画なんかを思い出しつつ良いお年をお迎えください。再来週月曜日シネマテークの前でお会いしましょう。では。

※オールドファッション幹太のブログ  KANTA CANTA LA VITA

*1:コラム第1回、映和中辞典内の「しねまっていく」の語義3を参照ください。

*2:コラム第2回を参照ください。