京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝を紹介する会社「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM COCOLOで行っている映画短評について綴ります。

映画とイタリア、いや、その両方三昧の黄金週間

どうも、ここ2日ほど風邪に見舞われ、快方に向かいつつある僕です。連絡を取る人が、僕の声を聞くや否や、「新型インフルエンザじゃないだろうね」と聞いてくる始末です。電話で話している人からも、若干怪訝そうな様子が伝わってきます。大丈夫です。新型はおろか、旧型でもなく、僕のはただの風邪です。そして、自力で治しているところです。

原因はひとつしかありません。東京です。あのわらわらと人の集まる不夜城でへとへとわやくちゃになった僕は、去り際になって喉に風邪菌をスーバニヤーよろしくゲットして「のぞみ」に乗り込んだのです。少なくとも健康に関しては、その時点でのぞみ薄でしたが…。

実は黄金週間に上京するのは、もはや僕にとって恒例行事なんです。それは、イタリア映画祭が有楽町で開催されるから。9回目となる今年の「イタリア映画祭2009も、当たり前のようにチケットを予約して乗り込みました。この映画祭には、監督やら俳優やら、けっこうビッグな人たちがゲストとして毎年来日して舞台挨拶をしたり、座談会がセットされたりするということもあって、800近い席が満員になる回も続出するくらいの人気っぷりなんです。

僕や大阪ドーナッツクラブのメンバーからすれば、東京でそれだけ盛況なら大阪をはじめとする地方都市も巡回しておくれよ、ということになるわけですが、ぼやいていても映画は届かないので、仕方なくこちらから出向くことになるわけです。

というわけで、今年は1日早朝に京都を出て、10:20には有楽町朝日ホールの席に座っていました。鑑賞したのは、商業的な妥協を頑なに拒否する孤高の映画作家、パオロ・ベンヴェヌーティ(Paolo Benvenuti)監督の新作『プッチーニと娘(Puccini e la fanciulla)』(画像下)。細部まで計算しつくされた構成と、手紙のやり取り以外にはセリフのない、ひたすらに美しい映像と環境音で紡がれていく物語には興奮を覚えました。どうしても、この人の作品はこの朝の上映で観ておかなくちゃいけなかったんです。それは、同じ1日の夜に京橋の映画美学校でベンヴェヌーティ監督の特別講義が予定されていて、僕がその通訳を依頼されていたからです。旧作についてはDVDで予めすべて観ていたんですが、新作を拝見しないままには話の流れに通訳がついていけないことになりそうだ、というわけで、事前に監督の文章やインタビュー記事に目を通して準備をしていったわけなんです。

学生の皆さんに『魔女ゴスタンツァ(Gostanza da Libbiano)』(画像下)という作品を上映している間に監督と司会者と打ち合わせを済ませ、19時半から始まった講義では、監督はなんだかえらくヒートアップして、21時までの予定だった授業は、半時間以上超過して終了しました。早朝からの移動と2本の映画鑑賞(ちゃっかり午後からも1本観てしまいました)と矢継ぎ早に繰り出される監督のイタリア語に耳を肥大化させて食らいついていた僕は、講義前に飲んだリポビタンの効果もむなしく、すっかり疲労困憊でした。いや、リポDを摂取していなければ、屍と化していたかもしれません。

すぐにでも眠れそうだった僕ですが、あろうことか打ち上げに参加してしまいました。そして、麦酒を飲んで息を吹き返した僕は、偉大なる映画関係者の皆さんに囲まれてすっかり上機嫌。白熱する映画談義に日本語とイタリア語で参加するうちに日付が変わって散会。ようし、明日は乾さんとも話すわけだから、ぼちぼち投宿するかと思っていた矢先、僕はイタリア留学時代にお世話になった講義の司会者に首根っこをつかまれ、下北沢のバーへ連行されました。メンバーは4名。僕と司会者、女性映画プロデューサー、そしてなんと青山真治監督。そうなんです、実は青山さんはベンヴェヌーティ監督と旧知の仲ということで、講義から参加されていたんです。

これは辞去するのも野暮というもの。僕はまたビールで仕切りなおすことにしました。この強烈なメンバーと同席して映画話に花を咲かせるだけでも恐れ多いことだったんですが(当然ながら、僕はほとんど聞き役に徹しました)、さらに驚いたのは、偶然にその酒場に居合わせたという甲斐バンド甲斐よしひろさんが乱入してきたことです。ほとんど夢見心地でしたね。メディアを通してしか知らなかった甲斐さんですが、メディアでは話せないようなことをご機嫌に吐露してらっしゃったのが印象的でした。
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気がつけば、4時。さすがにこれはまずいと慌ててタクシーに乗り込み、一路宿へ。4時間の睡眠の後、「幸せラジオ 乾龍介です!」に電話出演し、すたこらさっさとまた有楽町へ。

結局、3泊4日の東京滞在中に10本のイタリア映画を鑑賞し、月島でもんじゃを食べて「やっぱりこなもんは大阪だ!」と吠え、築地で寿司を頬張り、原宿ですし詰め状態の人混みにもみくちゃにされ、5年前に通っていたイメージフォーラム付属映像研究所の同期や修士課程で同じ映画ゼミだったTVディレクターと祝杯をあげるという、これ以上はあり得ない過密スケジュールを消化しました。

そりゃあ、風邪もひきますよね。本当は京都に帰ってからの予定も立てていて、新旧ふたつの都を股にかけた筋金入りの黄金週間を満喫してやろうと当初は意気込んでいた僕ですが、幸いというべきか雨となった5・6日は自宅待機を自ら課すことになりました。自業自得というやつです。

しかし、今年は16連休の人もいるとかで、考えようによっては、明日と明後日が本当の後半と捉えることだってできるわけですよね。体調も回復したことですし、有意義に過ごしたいところです。晴れるみたいですしね。皆さんも、ぜひ黄金のシメを。

それでは皆さん、また非常に近い将来に、否、また明日電波でお耳にかかりましょう。