どうも、僕です。
最近やたらめったら書き物を強いられていたせいで、昼間は極端なインドア生活を送っているわりには、夜になると何かと人に誘われて、麦酒の誘惑に抗うこともできず、ホイホイとその都度ついていってしまっています。
誘われなくても、第3とも第4とも知れない発泡酒を自宅で口にはすることにはなるわけなんですが、それまでどれだけ疲れていようと、不思議なことに元気がこんこんと湧いてくるんですね、これが。
昔から麦酒を飲みながら、やれ燃料だガソリンだと喩えていたもんですが、近頃はもっぱら第3・第4ですからね、大豆ペプチドとかエンドウ豆だったりするわけですよ原料が、なんならとうもろこしが混入していたりする。こうなるともはや流行りのバイオエタノールですね。比喩でも何でもない。
そうやってどうでもいいことをつらつらと考えながら、エネルギーを補給してエイヤ!といくつもの夜を越え、ふと気がついてみたら、
あっという間の8月ですよ。
いかんいかん、すっかり忘れていた。映画のお知らせをせねば。
今日ご紹介したいのは、内藤隆嗣(たかつぐ)監督の『不灯港』という作品です。
自主映画『MIDNIGHT PIGSKIN WOLF』でぴあフィルムフェスティバル2006の企画賞(TBS賞)を受賞した内藤監督が、第18回PFFスカラシップの権利を獲得して製作した劇場デビュー作です。
要するに新人さんの作品なわけですが、試写室に身を沈めて、上映が始まり、最初の2カットを見ただけで、主人公であるパッとしない40がらみの漁師が操縦する船越しの流れる海の映像を見ただけで、僕は「やるな、こやつ…」と声に出さずにつぶやき、ものの5分も経たないうちに内藤監督の術中に完全にはまってしまいました。
世界のインディペンデント系の映画作家にとって最高峰の舞台、ロッテルダム映画祭でも、かなりウケたらしいです。そりゃそうでしょう。
ちょっとやりすぎなきらいもあるけれど、練りに練られた芝居がかった臭い台詞の数々。呆気にとられるほど緩い間合いが多いのに、決して冗長にはしない演出のうまさ(あーだこーだと試す現場の雰囲気は楽しかったろうなあ!)。もしかすると人によっては簡単な絵作りに見えてしまうかもしれないけれど、きちんと一貫した力学を保つフレーミング。饒舌にならず、ミニマリズムにのっとって、観客に想像力の羽を伸ばせてくれる語り方。
パンフレットには、「寂れた港町で繰り広げられる、不器用な男・万造の恋の顛末を描いた、しびれて、笑える、ハードボイルドな喜劇」とあります。僕は上半期に観たフィルムの中ではベストでしたね。今後の期待も込めて。
ジム・ジャームッシュ。アキ・カウリスマキ。山下敦弘。彼らを並立に論じるのが野暮ったいことだとは重々承知しています。僕が彼らの名前を出したのは、このラインナップにピンと来た人は、迷わず『不灯港』を観に行くべきだということです。
大阪のシネ・リーブル梅田で今日8月1日(土)から公開されています。ぜひ!
音楽は今や日本の若い映画監督たちから引っ張りだこ、なはず。赤犬の松本章が手掛けています。公式サイトで一部耳にできるんで、試しに聴いてみてください。
さっきも書いたように、いちいち気になるセリフが満載というか過積載なくらいで、笑いをこらえるのに必死だったんですが、僕が思わずメモしたのは、「オレにもスタイリングさせろ!!」でした。どこで出てくるか、誰が口にするか、劇場でご確認ください。こんな言葉、これまでにも言ったことないし、まあこれからもないでしょうね。
それでは皆さん、また非常に近い将来に。
うわあ! 最近幸せ手抜き料理の紹介に手を抜いてた! とっても近い将来に必ず!