京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝を紹介する会社「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM COCOLOで行っている映画短評について綴ります。

イタリアの絵本『水おとこのいるところ』オンセール!!

どうも、僕です。

今月半ばくらいでしたかね、ブログの翻訳紹介コーナーに新しい仲間が加わるようになったんですけど、皆さん気づいてました?

よく見ると、「MASAOの翻訳」だったものが、「MASAOと大阪ドーナッツクラブの翻訳」ってなってますよね。

このたび、僕が主宰する大阪ドーナッツクラブのメンバー、田中桂子が『水おとこのいるところ』というイタリアの絵本を出版することになったのです。パチパチパチ。
水おとこのいるところ
田中桂子はドーナッツクラブ内ではツィスティーけいこと呼ばれているので、以下ツィスティーとしますが、彼女はなんとえらいことに、「第15回いたばし国際絵本翻訳大賞」という翻訳コンクールのイタリア語部門で最優秀翻訳大賞を受賞したのであります。

すごいコンクールがあるなと思いませんか? 英語ならいざしらず、イタリア語部門なんてものがあるんですよ。はい、何を隠そう、日本で唯一のイタリア語翻訳コンクールです。今年の対象作品がこの『水おとこのいるところ』だったんですね。

ひらいたままの蛇口から生まれた、世にもふしぎな水おとこ。はじめは捕らえようとしていた人々も、花に水をあげたり、おいしい水を飲ませてくれる水おとこに、すこしずつ心を開いていきました。人々に追われながらさまよう水おとこは、ついに自分の居場所を見つけるのでした。

これがアマゾンが紹介するこの作品のレビューです。ぜひ多くの方にお読みいただきたいので、ここではこれ以上は触れませんが、素敵な翻訳になっていることは間違いなしです。原題は“L'uomo d'acqua e la sua fontana”で、直訳すると「水の男とその噴水」となるんですが、これに『水おとこのいるところ』という邦題をあてたことだけをみても、彼女のセンスが光っていることが感じられると思います。

本当に、外国の本って、翻訳でびっくりするくらい変わるもんですからね。ぜひツィスティーの訳を読んでみてくださいね。

ツィスティーとは、僕が翻訳を始めたころから3・4年ほど一緒に翻訳会を定期的に開催してきたので、僕は今回の出版をとっても喜んでいるしだいです。ドーナッツクラブの旗揚げとして京都で2005年に上演したダリオ・フォーの喜劇も僕と彼女の共訳でした。

翻訳会では僕が暴走気味の訳語のチョイスでいつもたしなめられていたものですが、あの頃から、彼女のとりわけやわらかい言葉の使い方にはいつもただただ感嘆していたものです。僕には浮かばない言葉が彼女から出てくるんですね。

イタリアは絵本とか児童書の質が高いということで昔から注目されてきた国ではありますが(皆さんおなじみのスイミーもイタリアのお話なんですよ)、最近は少し量的に日本での紹介例が少ないなと思っていました。皆さんもぜひ『水おとこのいるところ』で、イタリアの最新の傑作に触れてみてください。

イーヴォ・ロザーティさく、ガブリエル・パチェコえ、田中桂子訳でお届けする『水おとこのいるところ』は、岩崎書店から現在発売中で、1.575円(税込)でお求めいただけます。子供だけでなく、大人も楽しめること請け合いです。どうぞご贔屓に。

それでは皆さん、また非常に近い将来に。