京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝紹介グループ「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM802で行っている映画短評について綴ります。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』短評

FM802 Ciao! MUSICA 2017年5月19日放送分

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MCUことマーヴェル・シネマティック・ユニバースのシリーズにおいて、最もダメな奴らがヒーローになってしまう、たった1作で一気に超人気作に躍り出た『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』がリミックスとして帰ってきました。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(字幕版)

スター・ロードを名乗るピーターをリーダーに、銃器を容赦なく撃ちまくる口の悪いアライグマのロケット、怪力巨漢スキンヘッドのドラックス、セクシーなナイフ使いガモーラ、そして忘れちゃいけない最終兵「木」のグルート。この凸凹軍団は、あれから宇宙の平和を守りつつ、ちゃっかりあくどいこともしながら活動中。今回もとある依頼を受けて怪物と戦った後、アライグマのロケットが余計なことをしでかしたおかげで、とんだ騒動が勃発。そこにピーターの父親を名乗る男エゴが現れ、やがて銀河全体の命運がかかった恐ろしい出来事が動き出してしまいます。
 
監督・脚本は前作に引き続き、ジェームズ・ガンクリス・プラット他主要キャストが続投する中、カート・ラッセルシルヴェスター・スタローンなど大御所が演じる新キャストも登場して、いっそう華やかに物語が展開します。
 
それでは、制限時間3分間の映画短評。今週もいってみよう!

前作でですね、まだそこそこの大木だった樹木型ヒューマノイドのグルートが、唯一話せる言葉“I’m Groot”を変化させて“We are Groot”って発言したのを覚えているでしょうか。あれこそがこのロクデナシどもが本当のチームになった、いや、家族になった瞬間でしょう。つまり、今回はガーディアンズが仲間を越えて疑似家族の絆で結ばれてからのお話。グルートはどうなったか。予告にも出ていたし、最終兵「木」としても登場していましたが、あの後ベイビー・グルートとして生まれ変わりました。そして、準主役級にスポットが当たってます。これがまず大正解。オープニングで、ガーディアンズがソヴリンという星から依頼を受けて、その動力源である特殊な電源を、タコと恐竜が混じったような、ロケット曰くブサイクな怪物から守る任務に就いている。前回家族になったんだから、みんな力を合わせると思うじゃないですか。どっこい、それぞれに口だけ達者で好き勝手な戦い方するんだよな、これが。口喧嘩してるし。でも、そんな中、実は最も我関せずなのがベイビーグルートで、みんながそれでも必死に戦っているのを尻目に、ピーターが持ってきたPAで音楽を鳴らして踊ってる。その楽しそうな裏では壮絶な戦い。それをしかも長回しでカットを割らずに見せてしまう。無駄っていう(笑) この笑いなんですよ。このテイストなんですよ。

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そもそも、ガーディアンズはスペース・オペラの伝統と70年代のセンスいい音楽、そしてしょーもない会話を掛け合わせた発明だったわけですけど、今回はそのどれをもバージョンアップさせています。選曲は今回も文句なし。そして、会話もさらにアホなことになってます。前回よりも僕が好きになったのはドラックス。ワイルド・スピードに出てきそうなあの風体で天然。そして、ゲラ。彼のバカでかい笑い声を聴くだけ楽しい。ドラックスのワイルド・スピードっぽさが気になってくると、今度はベイビーグルートの声をヴィン・ディーゼルが演じていることが思い出されてきまして、また笑いが増幅されてしまいました。
 
こういう小ネタ満載の脚本って、くだらなく見えて、実はすごくセンスがいるんですよね。ドラックスの乳首ネタなんかも(ていうか、その笑いのほとんどが)小学生レベルに見えて、差し挟むタイミングとかずいぶん奇をてらってるし。でも、その一方で、脚本の強度を上げるために、ガン監督はピーターの父親との再会という、こういうSFものでは特に鉄板の要素を盛り込んできたわけです。ここはやっぱり手堅く安全に行こうって感じかなと油断していると、ここにもひねりを入れてあるのは観た人ならわかること。偶然にも先週の『追憶』に続いてですけど、自分の力ではどうしようもない血の繋がりが絶対なのでは決してなく、それを時に上回る絆を人間は結ぶことができるし、そこにこそ人の情が宿るのだというメッセージが込められています。ここがもちろんハイライトなだけに、語れないのがもどかしいんだけど、まあ、そういうことです。まさか最終的に泣かされかけるとは思ってもみなかったですよ。そして、また浸らせる間もなく、笑いを入れてくる。しかも、凄いのは、同様の主題をガモーラの出自にも当てはめていて、これがうまくバリエーションとして機能してる。みんなにしっかり見せ場があって、泣かせたかと思いきや、すぐさま矢のように笑いが飛んで来る。そのバランス感覚もすばらしい。正直に言って、マーヴェルで僕は一番好きです。
 
ただ、さすがに今回の悪役は強すぎませんかね。脚本の改変をして、よりわかりやすくしたということですが、さすがにパワーのインフレが進みすぎていて、最後は絵的に何が何だかってなってしまってます。でも、そんなもんですよ、言いたいことは。

ガジェットも前回からさらに工夫して面白く見せているし。選曲はセンスだけじゃなくて、物語を歌詞が補強するような当て方をしてる。そして、何より、カセットテープや再生機材を壊した奴はただじゃおかないぞというのが、一音楽ファンとして嬉しいし笑える!
 
さて、次回以降、MCUの他のシリーズと交錯するのがちょっと心配ではありますが、それもうまくやるんだろうと高をくくってしまうくらい、僕はガン監督を信頼しています。

さ〜て、次回、5月26日(金)の109シネマズ FRIDAY NEW CINEMA CLUBで扱う映画 aka「映画の女神様からのお告げ」は、『メッセージ』です。2週連続SFですが、毛色はまったく違いますよね。そして、前評判がこちらも相当高い。あなたも観たら #ciao802を付けてのTweetをよろしく!