京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝を紹介する会社「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM COCOLOで行っている映画短評について綴ります。

エドアルド・レオ特集上映より 『黄金の一味』俳優紹介

先日『黄金の一味』(Gli uomini d’oro)をなら国際映画祭にてプレミアム上映させていただきました。おかげで大盛況のうちに上映を終えることができました。難しい状況下でご来場いただいた皆様、改めてありがとうございました! そして本作は10月にアップリンク吉祥寺、アップリンク京都、アップリンククラウドにて鑑賞可能なので、引き続きよろしくお願いします。

というわけで、今回はその『黄金の一味』の主人公ふたりをご紹介。エドアルド・レオ特集上映と銘打っておりますが、ほかの俳優も曲者ぞろいで大注目です。

 

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ザーゴ役のファビオ・デ・ルイージ(左)とメローニ役のジャンパオロ・モレッリ(右)

 

まずは『黄金の一味』第一章の主人公ルイージ・メローニ。彼は郵便局の現金輸送車を運転するという今の仕事に飽き飽きしていて、早期退職してコスタリカでビーチバーを開くという夢を抱いている。ところが国の金融政策により、早期退職の道が断たれたメローニは、現金略奪の完全犯罪を計画する。友人を犯罪に巻き込むメローニは、仕事中もほぼ一人でしゃべり続ける自分勝手なナポリ人。彼を演じるのが、ナポリ生まれのイケメン俳優ジャンパオロ・モレッリ。ドーナッツクラブが過去に字幕を担当したマネッティ兄弟の映画『僕はナポリタン』(Song’e Napule)や『愛と銃弾』(Ammore e malavita)にも出演しており、勝手に縁を感じている推しメンだ。TVドラマや娯楽映画の端役をしていたが、2000年代中盤から、マネッティ兄弟に気に入られてブレイクにいたった。2020年4月には、自作の小説を、自ら監督・主演を務めて映画化した『君を恋に落とす7時間』(7ore per farti innamorare)を公開し、その多才ぶりを発揮している。ジローラモ・パンツェッタもナポリ出身だが、もしかしたら系統は似ているかも……?


映画『愛と銃弾』劇場予告編

 

この予告編で見られるとおり、『愛と銃弾』では無口でクールな殺し屋だったモレッリが、『黄金の一味』では字幕が追いつかないほどしゃべりまくる。それでも周りから特に鬱陶しがられる訳でもなく、人懐っこい魅力的な人柄が成り立つのは、ナポリ人の天性かもしれない。

 

次に第二章の主人公アルヴィーゼ・ザーゴを見てみよう。メローニとは対照的な、無口で不愛想な彼は、家では電気代を節約し、仕事を掛け持ちして家族を養う。愛する娘のことを思い、借金を完済するために、メローニの犯罪計画に手を貸す。彼を演じているのはコメディアンのファビオ・デ・ルイージだ。舞台俳優からコメディアンに転身し、テレビのお笑い番組への出演をきっかけに人気を勝ち取った。個人的に彼を知ったのは、人気コメディー女優ルチアーナ・リッティッツェットと共演した映画『男やもめ希望者』(Aspirante vedovo)だ。リッティッツェット演じるやり手の女社長と結婚した青年実業家夫のデ・ルイージが、彼女を殺して遺産を手にすることを夢見るが……というストーリー。これはアルベルト・ソルディが主役を務めた1959年の映画『男やもめ』(Il vedovo)の現代版リメイクだ。


Aspirante vedovo - Trailer ufficiale

 

ところが、モレッリのケースとは逆に、普段なら饒舌にしゃべるデ・ルイージが、『黄金の一味』では、無口な仏頂面で勝負している。「コメディアンなのに、心の奥に哀愁が漂っている」という理由で監督ヴィンチェンツォ・アルフィエーリに惚れこまれたデ・ルイージは、役作りのために6か月で10キロ体重を落とし、本来の彼とは違う「別人」役に臨んだ。自由奔放なナポリ人メローニと、仕事に真面目で口数の少ないトリノ人ザーゴという対比も、イタリアの地域性を反映していて面白い。

 

三人目の主人公エドアルド・レオも、本作では、いつもの中年ダメ男というはまり役ではなく、哀しみを背負った元ボクサーを演じていることを考えると、主人公の俳優三人ともに、キャラ違いの意表を突いた役どころを演じていることになる。『黄金の一味』はそんな大胆なキャスティングも楽しめる作品なのだ。

 

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そしてイベント開催にあたり、難しい状況下でイベントの意義を汲み賛同してくださった協賛社さま、ありがとうございました! 今回は、バッグとベルトの気鋭ブランドFattoria del cuoioをご紹介。

 

Fattoria del cuoioとは革なめし工場の意味。

ミラノでヴィンテージの素材を活かしたオリジナルリメイクアイテムのデザイナーとして腕を磨き、日本に帰国後イタリア製ベルト・バッグブランドTIBERIO FERRETTIの企画とブランディングを務めた(株)コマコ・オフィチーナ代表の駒井氏が、トスカーナ州の小村モンスンマーノを拠点に、2019年春夏から新たに立ち上げた新ブランド。彼らと手を組んだのは、イタリア国内外の大手ブランドのベルトを多数手がける100%トスカーナ生産の由緒ある革工房の凄腕職人たち。すでに10年以上にわたり共に仕事をしてきたここモンスンマーノで、職人たちが培ってきた革小物の品質とこだわりに、TIBERIO FERRETTTIの企画で鍛えられた駒井氏の発想力と独創性が混ざり合う。クリエイティブでありながら高品質を保つ魅惑の新ブランドを、日本から発信し、育て上げていく。

 

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