京都ドーナッツクラブのブログ

イタリアの文化的お宝を紹介する会社「京都ドーナッツクラブ」の活動や、運営している多目的スペース「チルコロ京都」のイベント、代表の野村雅夫がFM COCOLOで行っている映画短評について綴ります。

スターチャンネルで配信中!『ゴールデン・ハンター』作品解説

Amazonプライム内「スターチャンネルEX」で好評配信中、BS「スターチャンネル」で随時再放送!僕・野村雅夫が選ぶ、イタリア映画の巨匠たちによる、知られざる名作シリーズ。

『愛と殺意』『狂った夜』『三人の兄弟』『ゴールデン・ハンター』『醜い奴、汚い奴、悪い奴』の5作品から、今回ご紹介するのはこちら。

ゴールデン・ハンター

『ゴールデン・ハンター』(原題:CASANOVA '70)

 

監督のマリオ・モニチェッリは、とにかく面白い痛快なイタリア式喜劇を撮る巨匠。そして主役は、イタリア映画永遠の主人公とも言うべきマルチェロ・マストロヤンニ最高のタッグで笑っていただきます。

マストロヤンニ演じるアンドレアは、NATOの将校。オリジナル・タイトルにはカサノヴァとあるのでわかるかと思いますが、邦題の『ゴールデン・ハンター』というのは、ガールハントのことなんですね。アンドレアは女性を誘惑するスペシャリスト、自他ともに認めるプレイボーイ、なんですが、実は性的に不能であるという自覚を覚えるようになるんです。そこで、高名な精神科医にみてもらったところ、危険な目にあわないと性的に興奮しないらしいとわかります。あとはもう、アンドレアがどんな危険な目にあうか、それはもう見てのお楽しみ。最後のオチまで、その暴走ぶりに笑えます。

無駄にキャラが濃い精神科医

まずはなんといっても見応えたっぷりのオープニングクレジット。おしゃれであるのと同時に、文字と文字がなんというか、ウッフンな感じというか、男女の関係を連想させますよね。まさにこの後始まる本編の内容を示唆しているわけなのです。

ウッフンに次ぐウッフンな展開

イタリアのエロティックな笑い話は、中世の『デカメロン』が有名で脈々とありますが、デカメロンではいろいろな登場人物がいろいろなエピソードを語って幅を広げていく小噺集であるのに対して、この作品ではマストロヤンニ演じるアンドレアがひとりで全部をこなすという、いわば「ひとりデカメロンですよ。

パゾリーニ脚本・監督『デカメロン

原体験ともいえる「竹馬のぞき」にはじまり、極限状態で愛の営みをどんどんエスカレートさせていきます。NATO将校であるという設定も手伝って、舞台がくるくる変わるのも観光映画的で楽しいですね。そうそう、マストロヤンニの衣装にもご注目。カサノヴァたるもの、おしゃれにも気を遣ってなんぼ。シーンごとの彼の衣装を見るだけでも楽しめます。

また、物語後半で特にアンドレアの危機として立ちふさがる骨董マニアの伯爵。見た目も性格もかなりぶっ飛んだキャラクターですが、これを演じるマルコ・フェレーリは、実は映画監督で、『女王蜂』『最後の晩餐』など、かなりぶっとんだ映画を撮ることで有名です。

マルコ・フェレーリ(左)

アカデミー賞脚本賞にノミネートされた本作、音楽はエットレ・スコラ監督の名作『あんなに愛しあったのに』でも有名なアルマンド・トロヴァヨーリが担当しています。

 

この作品、そしてそのほかの僕が選んだイタリア映画も、ぜひスターチャンネルでお楽しみください!

 

【視聴方法】
・配信:Amazonプライムビデオ内「スターチャンネルEX」にて。7日間無料体験!Amazonプライム登録要。
・TV:BS映画チャンネル「スターチャンネル」にて。BSが映るTVで有料視聴可。

www.youtube.com

 

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■作品情報

ゴールデン・ハンター
CASANOVA '70
1965年/イタリア/127分
監督/マリオ・モニチェッリ
脚本:トニーノ・グエッラ(『禁じられた抱擁』)、スーゾ・チェッキ・ダミーコ(『山猫』)、ジョルジョ・サルヴィオーニ、マリオ・モニチェッリ、アージェ・スカルペッリ
撮影:アルド・トンティ(『鎖の大陸』)、
音楽:アルマンド・トロヴァヨーリ
製作:カルロ・ポンティ

 

■キャスト
アンドレア:マルチェッロ・マストロヤンニ
ジリオーラ:ヴィルナ・リージ(『女房の殺し方教えます』)
テルマ:マリーザ・メル(『潜行』)
ノエル(冒頭の女性):ミシェル・メルシェ(『可愛い悪女』)
精神分析医:エンリコ・マリア・サレルノ
客室乗務員:セイナ・セイン
客室係:ローズマリー・デクスター